地域ごとの環境教育 zinc 2006/04/02 12:04:58 └これまたいくつかに分けてお返事しましょう... おやぶん 2006/04/02 12:05:33 ├Q.川が流れている地域では、もっとほかにで... おやぶん 2006/04/02 12:06:15 ├DELETED おやぶん 2006/04/02 12:06:56 (削除) ├Q.「地球温暖化の防止」「オゾン層の破壊」... おやぶん 2006/04/02 12:07:56 ├Q.手の届く小さな課題に取り組み知るだけで... おやぶん 2006/04/02 12:08:20 └Q.また、この環境教育に対するアプローチの... おやぶん 2006/04/02 12:08:43
地域ごとの環境教育 [返事を書く] | ||
さて、私は一般に「環境教育」と言われているもののうち、水生昆虫を利用した河川環境の調査を数年間行った経験があるのですが、結論から言うと毎年「とてもきれいでした」という結果に終わりました。 もちろん環境の監視という意味で毎年調査することの必要性はあると思いますが、基本的にはきれいな川が流れている地域では、もっとほかにできることがすべきことがあるのではないかと思うようになりました。 「地球温暖化の防止」「オゾン層の破壊」等、大きすぎる課題も学校教育の中で扱うのは適切とはいえない気もします。(知るだけの環境教育になってしまう・・・) であるならもっともっとローカルな、その地域でしかできないような、でも知るだけではなくその解決方法を試行するまでの活動ができる内容がほしいと思います。手の届く小さな課題に取り組み知るだけではなく解決するために行動できるような教材。そのような例をご存じでしたら教えていただきたいと思います。 また、この環境教育に対するアプローチの仕方は正しいのか。(いやもちろん正解はいくつもあるのでしょうが・・)ちょっと特殊なのか。これから主流になりうるのか。おやぶんさんのご見識をお聞きしたいと考えます。 | ||
|
▼ Re: 地域ごとの環境教育 [返事を書く] | ||
これまたいくつかに分けてお返事しましょう. (このQ&Aは管理者の別の掲示板から移設しました) | ||
|
▼ Re: これまたいくつかに分けてお返事しましょう... [返事を書く] | ||
Q. 川が流れている地域では、もっとほかにできることがあるのではないか? →環境教育にかかわらず,教育活動は指導者と学習者が目的を共有していないと効果的な学習が成立しないと思われます.一般的に学校で行われる授業で取り上げられる学習内容は,「必要なこと」「役に立つこと」「やらなければならないこと」であることが自明であるかのように思われているので,そこのところをあまり問題視しない傾向にあります.しかし,自分のことを振り返ってみてもそう思うのですが,学習する側にとってはそのことは自明のことでない場合も結構あります.一度,こどもたちに「きれいとされるこの川を題材に,どんなことを学習してみたいか」ということを投げかけてみてもいいかもしれません.指導者側に実施することの意義が薄れている場合,学習効果が高まるとは思えませんし... | ||
|
▼ Re: これまたいくつかに分けてお返事しましょう... [返事を書く] | ||
|
▼ Re: これまたいくつかに分けてお返事しましょう... [返事を書く] | ||
Q. 「地球温暖化の防止」「オゾン層の破壊」等、大きすぎる課題も学校教育の中で扱うのは適切とはいえない? →これらについては,かならずしも「大きすぎる課題」とはいえないのではないでしょうか.温暖化もオゾン層の破壊も,それを促進してしまうような生活習慣や防止するために各自が取り組めることなどを考えることで,「自分も地球の一部分であること」を意識することはできるのではないかと思います.先に述べた「行動主体を育てる」ことにもつなげることができそうですし,地球規模の時空スケールで環境を意識することなしに,環境問題は解決できないでしょうから.... | ||
|
▼ Re: これまたいくつかに分けてお返事しましょう... [返事を書く] | ||
Q. 手の届く小さな課題に取り組み知るだけではなく解決するために行動できるような教材をご存じ? →書籍やネット検索でも,そういった事例はたくさんあるかと思います.たとえば,「環境家計簿により温暖化促進状態をチェックする」「自分のうちから一週間に出てきたゴミを調査して資源問題を考える」など,家庭という最もローカルな単位をターゲットにしていて,かつどの地域でも取り組むことができるタイプの授業があります.また,農業地帯では作物の生産から出荷までの間に,水・空気・土壌にどういった物質の出入りをさせているか,その間にどのようなエネルギーを使っているか,といった調査活動によりエネルギー循環と物質循環を考えることもできるでしょう. ところで,「解決のための行動」というのにもいろいろなものがあります.自分の生活習慣を直接変化させてしまう場合もあるでしょうし,他人にもそうさせる場合もあるでしょう.また,意識を持って自分の周囲のさまざまな意見を持っている人と話し合うこと,議論を重ねて納得できる部分にみんなで取り組むようにすることなども重要な「行動」だと思います(結論が出なくても). 日本では,一般的に後者の取り組みは大人みんなが苦手なので,民主的な話し合い手続きで地域住民の意思統一ができる事例は少ないと思います.学校でもそういった経験をさせる場面は少ないでしょう.このような活動はオープンエンドな(固定的な結論が出ない)場合も多いので,大人が「テストで正解を得られるような教育」や「勝ち負けのような結果にこだわる部活」に慣れているような現状では取り組みづらいかもしれません.しかし,誰しも考えるように,与えられた結論を実行する人間を育てることが教育の目的ではないので,結論自体を集団の中で形成していくような活動が教育の場に求められると思います.直接何かを変えられなくても,そのための一歩を踏み出すことができるような人が求められているのだと思います.ですので,「行動」をどういうふうに捕らえて目的化するかの吟味もポイントと思います. | ||
|
▼ Re: これまたいくつかに分けてお返事しましょう... [返事を書く] | ||
Q. また、この環境教育に対するアプローチの仕方は正しいのか。これから主流になりうるのか? →さまざまなアプローチがあることとは思います.しかし,学校で学ぶ“スキル(知識や技能・方法論)”は「どういった場面で使うことができるものなのか」という“状況”とセットになっていないと,せっかく学んでも使えるものにはなりません.かんなの使い方を教えても,どのような場面でかんながけが必要なのかがわからないと,その技能を使おうとは思いませんよね.なので,環境教育に関する学びも,どういった場面で活用すべき知識なのかがセットになって伝わらないと,環境教育の目的を「行動」のレベルにおく場合,それを達成することは難しいと思います.「Think globally, Act locally」とは環境教育では使い古された感もある言葉ですが,このような意味では基本的な姿勢のひとつといえるのではないかと思います. アースエデュケーションというワールドワイドな環境教育団体の代表であるスティーブ・バンメーター氏は,北海道で講演したときに,「先生の主要なしごとは,地図という道具を渡し,こどもと共有できるゴールを示すことだ」と述べていました.含蓄のある言葉だと思います. | ||
|