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小説&マ投稿屋を皆で待ちませんか?
投稿者 アグァ・イスラ[1]
投稿日時 2007年11月24日(Sat) 21時25分02秒
 
 こんばんは。小説&漫画投稿屋、悲しいことになりましたね(泣)
 今まで書いていた小説更新がストップして、暇な方はいらっしゃいませんか――? 私は大分、暇というか、放心状態であったりします。
 
 そこで、この機に(前前から考えてはいたんですけど)、この掲示板でリレー小説なるものを、投稿屋の作者さんたちで書かないかなと思いまして(笑) 投稿屋が再開されるまでの間、皆でここで待ちませんかと…。
 誰か、一緒にやってくれませんかね。参加は自由です。
 ルールは簡単。
 このスレッドに、ただ、続きを書いていくだけ。
 プロットはないので、どんな結末になるかも予測不可能です(笑)
 皆が参加できるように、ストーリーも簡単にシンプルに行きましょう。
 
 ストーリーは、誰でも参加できるよう童話風。お題は、私が最初に勝手に
 設定しちゃいますが、次からは誰かがスレッドを立ててもいいし。
 臨機応変に。

 最初のお題は、『魔女と王子さまの恋愛』、です。
 恋愛なら、シンプルなのではないかと思いまして。
 魔女の少女は王子さまに一目ぼれします。
 王子さまにあの手この手を使って、気を引こうとします。
 ――それだけです。

 結末は王子さまが死ぬのか、魔女が死ぬのか、ハッピーエンドになるのか、全員死ぬのか誰にも分かりません。誰がいきなり、どんな結末で終わらせても、誰も文句は言いません。
 そんな感じです。

 ――という訳で、最初の第1話は、私が書きます。
 ので、続きを、誰か参加してくださる方が、この↓のコメントに、
 投稿していってください。何度でも参加は可能で、連続投稿もオッケー。
 誰も書かないなら、私が勝手に進めていくかもしれません。

 【第1話】
 
 ある所に、魔女の女の子がいました。
 魔女の女の子には名前はありません。
 ずっと、魔法の森の奥に住んでおり、人とはあまり会いません。
 魔女の家には、一匹の黒猫の使い魔、ピエトロがいるだけです。
 そんな森の奥に独りの青年が迷いこんできました。
 魔女は青年が困っていたようだったので、森から上手に出られるように魔法で手助けをしてあげました。
 青年は綺麗な顔立ちで、森から出ると、何人もの召使たちに取囲まれ、お城へといきました。不思議に思った魔女は、その青年の後を魔法のホウキで追いかけると、青年がこの国の王子であることが分かりました。
 魔女は、青年に恋をしていることに気がつきました。
 そして、魔女は青年を自分のものにしたくなりました。
 魔女の女の子は考えます。
 どうしたらいんだろう?
 いっぱい考えて、魔女は思いつきました。
 そして、魔女はその青年のところへ行きます。
 王子さまは言いました。
「君は誰だい?」
 魔女は、とてもいい考えを披露します。
 にっこりと王子さまに向かって微笑みました。
 そして、魔女が出したものを見て、王子さまは仰天しました。
 悪い意味で。

「――王子さま、私の家に来て下さい」
 魔女はそう言います。
 王子さまは喜んで直ぐに従いました。
 なぜなら、魔女の手には鋭い、凶悪そうな刃物が握られていたからです。
 黒猫の使い魔が言いました。
「……ご主人、せめて魔女なんだから、魔法を使おうよ」
「あら、ピエトロ。魔法を使っては、それはフェアじゃないわ。魔法で従わせるなんて恋ではないもの」
「……ご主人、これも恋じゃないよ。分かってる?」
 王子さまは、魔女の女の子を前に、両手を挙げて震えています。

 魔女の女の子は、魔女なので殺人も人攫いも、特に気にしません。
 さぁ、魔女の恋は、どうなる?




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投稿者 クロクロシロ[43]
投稿日時 2008年12月25日(Thu) 14時32分03秒
連続投稿ー
誤字脱字はご愛敬で…。

【41話】
魔女の処刑。
城下に住む民たちの話題がもっぱら一人の恐るべき力を持った少女の処刑の話になる一方で、例の怪鳥が夜な夜な巨大な槍をもった王子を乗せて国の空を飛び続け、王子自らが槍を振い生きている動物を無差別に殺しまわっている、そんな噂が真しやかに流れていた。

城下の民々の噂もお構いなしに、王子は城内歩いていた。
向かう先は今もなお苦痛と闘い続ける大切な友人の元。
体は小さく、でも勇敢でそれゆえに負傷を負った、騎士。
王国の治療師たちの話では、治療の工程は芳しく無いらしい。
当たり前だ、巨大化しているときならいざ知らず、あの小さな体で人ですら死にいたる礫を受けたのだから。

「…ピエトロ」

王子の口から意図せずしてその名前がつぶやかれる。
同時に歩く足も王子の気持ちを表すかのように速度を上げた。

心なしか、すれ違う侍女たちは皆、一様に王子を警戒している様に感じる。
少し、歩く速度を上げただけでこれだ。

「すごいな…、意識して見てみると、こんなに普通じゃない侍女がいたのか…」

自分たちの生活を世話する侍女たちに、裏の顔があるのはまぁ、分かる。
王子や王と接する機会が多いからだ。
何もできない侍女です、では有事の際に対応できない。

しかし、こうも、王子が今日初めて見たよこんな娘みたいな侍女までが、裏の顔を持っているとなると、王の警戒心は並々ならぬものなのかもしれなかった。

侍女すべてにまで警戒する騎士たちはいない。
刺客どころか、一個小隊、いや中隊が城内に進入しても苦もなく撃退できるのではないだろうか。
油断した人間を倒すことはたやすい。

「これは、迂闊に外じゃ口も開けないね…」

端からそんなところでミスなんてしないけどね、と王子は内心思う。
アルファーネにすら、すべてを話しているわけではないのだ。
だれも、自分の計画すべては把握できていないだろう。

「………」

王子の心がわずかに陰る。

アルファーネは、僕が計画のすべてを話していないことを知ったらどう思うだろうか…。
裏切られたとか、信用されてないのか、とか。
傷ついてしまうだろうか…。

「話すべき、だろうか…」

王子は何度も自分の中で会議にかけた議題を今さらに持ち上げる。

アルファーネになら話しても、問題はない。
そこには揺らぐことのない信用が確固としてあった。
しかし、信用しているからこそ、話さない方がいいこともある。
自分が欺きとおさなければならないのは、父上だけではなく、母上もだった。
だったら、母上と接点を持っていたアルファーネには話すべきではない…。
理性はそう告げる、何があるか分からないのだから、と。
でも、心は……。

「自分がアルファーネだったら知っておきたいけど…自分が王子だったら話さない」

当たり前のことを口にだして、納得する。
城内の事情がこの通りだから、口にしなくても結果が変わらないのなら問題はないだろう。

と、王子の中ではいつも通りの議決と相成った。

「こ、これは、王子。」

呼ばれて、王子は気がつく。
思考に没頭している間に、いつの間にか大聖堂の治療室にたどり着いていた。

「お見舞いに、ね」

いつものように入ろうとする王子を、衛兵はバツが悪そうに言う。

「い、今はおやめになった方がいいか……」

悪い予感を感じて、王子は衛兵の静止を最後まで聞くことなく飛び込むように治療室に入った。

投稿者 クロクロシロ[44]
投稿日時 2008年12月25日(Thu) 14時35分16秒

【42話】

「あら」

と、妖艶に言う、その人。

「なんで、おま……貴女がここに…?」

内心の動揺を隠しきれず、王子は薄く混乱していた。
ここは、治療室、それは間違いない。
そしてほぼ真ん中に位置する石版の上には痛ましい友人の姿がある。
弱々しいながらも、確かに生きている、その小さな生ある塊。
そこまではいつも通りだった。

だが、普段なら四方から治療師たちがピエトロを囲むようにしているのに、今、治療師たちの姿はなく。
石板の前に、王子の前に、美女が立っていた。

聖女。

と王子は口にせずその名を告げる。

王子の認識ではこの美女がピエトロの場所に顔を出すことはあり得なかった。

王子は再び思う。

なぜ、ここに。

「大聖堂は私のテリトリーよ。私がいるのは当たり前、あなたがいるのが異常なの。あなたのお父様には大聖堂に近づくことを止められはしなかったのかしら?」

「……王は命を労わる行為には寛容ですから」

「反吐が出そうなほど、甘々国王ですものね?」

普通なら王族不敬罪で、罪になる可能性がある発言も、この美女がいえば大した問題にはならなかった。
国を影から支える一人。
王だけでは国は守れないが、この聖女がいれば王がいなくても『国』は守れる。

「何の用があって、ここに?」

再び王子は油断のない瞳で聖女を見つめる。
自然と片手が鋭剣に伸びる。

聖女はそれにこたえるように、薄く、嘲るように、嬲るように、嘲るように、笑って、言う。

「私、猫って嫌いだから」

瞬間、キン、と王子は聖女に細剣を抜き放った。

「…離れろ」

聖女は余裕の笑みを崩さない。

「王子ごときが私に剣を向けてただで済むと思って?」

権威的に、そして性能的に、あらゆる面で聖女は王子より優位だった。
こんな場面を誰かに見られたら、王子は終わる。
自然と視線が開け放たれた窓に向く。
中庭の園庭の一角に白いハトが止まっているのが見えただけだった。

王子は薄く笑って、言う。

「この距離なら、どんな魔術を発動しようが、剣のほうが早い」

「私は、普段から防御の魔術を張っ……」

「アリスの魔力を宿らせてるこの剣なら、その薄い防御膜も破れる」

「…………」

一歩王子は聖女に近づく。

聖女は肩をすくめて、王子の言うようにピエトロから距離をとった。
それでも、治療室からは出ていかず、あくまでも王子より猫から距離をとっただけだった。

「……そんな態度でいいのかしら。その死にかけの猫。私なら救えるのに」

聖女は意地悪く、王子に笑いかけるが、王子は誘いに答えない。

「聖女ごときに救える命、僕でも救ってみせる」

「ウフフ、アッハハハハ。どうやって?ねぇどうっやって?魔術の魔の字も知らない餓鬼が?」

「あんたが景気よく使った治療式はもう頭に『入ってる。』だからここに来た。」


初めて、聖女の顔に変化が起きたが、王子は構わず続ける。

「治癒術を使えるのはあんただけじゃなくなる。それを、今ここで試す」

だから、出て行け。
と王子は聖女に言い切った。

「フフ、フフフフ。アッハッハッハッハッハッハ。私に対して、そんな態度、国王ですら取れないのに。剣は抜くし嘘はつくし本音は言わないし。可愛く育ったものね?王子サマ」

聖女は、すう、とピエトロに手を翳し、一瞬目をつぶる。
それから、自然な動作で王子の頭に手を置いた。

驚いた王子が反応する前に、頭を優しくなでて、聖女は微笑みを残し治療室を後にした。

居なくなる直前、聖女は声にはださず一言だけ残して行った。

「…………」

聖女がいなくなってすぐに、白いハトが王子の肩に止まった。

「ピエトロが治うとる。ホンマに王子、魔術使えるようになったんか?」

「そんなわけあるわけない。魔方陣が覚えれても、ここには魔力なんてないからね」

「さっき、ご主人の魔力が剣にはやどうとる言うとったやんけ」

「王族って嘘つくのが仕事だから…」

「あー、だから聖女のあの言葉な、全部気付かれとった上に情けまで掛けられたわけかいな」

「それはちょっと違う、と思う」

珍しい、というか。
こんなことが自分たちの間に起こるわけないと思っていた。
でも、起こった。

王子は微妙に赤くなった頬を隠すように怪訝そうな顔のポロッポーを叩いた。
鳥の表情なんてしらねーけどね?

投稿者 れいちぇる[45]
投稿日時 2009年03月11日(Wed) 21時05分43秒
 こんばんはー。なにやらかなりシリアスな雰囲気が漂っていて、どーしたものかと悩んじゃいました。今回のわたしの投稿分ではお話は大きく動きませんが、これからどうなっていくのかとwktkです。



【第43話】

 大聖堂の治療室へと続く長い廊下を、金糸の髪と碧眼をもつまだあどけない少女の面影を残した美しい女の人が歩いていきます。

「…私も甘くなったものね。さっき初めて見た魔物を治すなんてね。しかもアイツの」

 ぽつりと呟きました。隣に控える背の高い兵が答えます。

「…それこそが聖女と言うものだ。本来の、な」

肩をすくめて聖女様は笑いました。

「あの女がこのまま廃人同様に成っていくのを見ても何も面白くもないものね。アグディール戦線の奇跡の借りを返せないと、私自身が許せないし」
「…あれはお前が悪い」

 ふん、と鼻で笑い返して、背の高い兵が戒めるように聖女様に言いました。なにやらこの二人の間柄にはただならぬ物がありそうです。

「それにしても、お前の聖なる力なら別にあの黒猫が死してからでも復活させられるだろう? 魔女確保の詳細な知らせを受けた後、何もあのように血相を変えて急いで大聖堂に戻らずともよかったと思うが…」

 確かにその通りです。たとえば最悪ピエトロを助けることができなかったとしても、王子様が聖女様の力にすがれば魔女アリスを奪還した後でも蘇生させることが可能のはずです。
 ですが今回隣国に大使として出向いていた聖女様は、お仕事途中で急いで王国に戻ってきました。そして捕らえられた魔女の今の姿を見るやいなや、誰に何と言われたわけでもなく真っ直ぐに大聖堂に向かっていったのです。これは誰がどうも考えてもおかしなことでした。
 これだから魔法に疎い筋肉マンは…、とでも言いたそうな感じの聖女様が教えてくれました。

 魔女アリスのようないわゆる「魔法使い」の使う魔法は、「魔力」によって物事をいびつに変化させるもので、たとえば燃やしたり、冷やしたり、空間をゆがめて遠くにあるものを近くにまで引き寄せる、いわゆる召喚ということを行ったりするものでした。
 それに対して聖女様の「聖なる力」とは変化させるものではなく、そのものの持つ力を強化するような作用があるのです。なので傷ついた者や物はその傷が癒され、失われた命も引き戻しつなぎとめることが可能なのだそうです。
 ですが聖女様のような「聖なる力」はもともとある魂をつなぎとめることはできても、「魔力」によって元の魂から作られた擬似の魂を再生することはできず、生き返ったところでそれは「魔力」の影響を受ける前の、まったく別の存在となってしまうのです。

「いい? 魔法も万能ではないの。たとえ私の空前絶後で超絶強力無比な聖なる御力だとしても、できないことはできないの。それを理解して、はじめて力の何たるかが分かるっていうものよ」

 お前は聖女が何たるかを知るべきだったな、と皮肉を言われてもニヤニヤとしたまま動じませんでした。ここは大聖堂の治療室から真っ直ぐ伸びる長い廊下です。二人の足音だけが響いていました。ちょこっと足を止めて、ふっと長い廊下の先にある出てきた扉を見遣りました。

「…さて、猫は助けてやったわよ。あの魔女はあなたが助けるつもりなんでしょう? これをどう使うかは王子、あなたに任せるわ。どっちに転んでも私にとって面白い見物になるのでしょうけどね」

 大聖堂の一室で苦悶の表情から解き放たれた黒い子猫を撫でながら、王子様は迷っていました。ピエトロが助かったことを教えるべきか、伏せるべきか。王子様の計画は大きな転機を迎えていました。





「…それにしてもネコが嫌いとは知らなかったぞ」
「ザラザラした舌で舐められたら痛いじゃない」

うん、確かにそうだけど。


投稿者 れいちぇる[46]
投稿日時 2009年04月16日(Thu) 22時40分20秒
 こんばんはー。
 王子様の作戦がまだ自分の中で見えていませんので、このお話を佳境に持って行くことができませんでした…
 でもサイドストーリーならまかせとけ! てな感じでまた投下させていただきます。


【第44話】

「歩兵の群れに単騎突入、ねぇ…」

 長いストレートヘヤーをした、それもないすばでぃーな、見る人の心を惹くような美人さんが机に肘をついて窓の外を見ながら呟きました。お酒の瓶が転がっています。

「ホントなら魔力を封じた魔女の処刑ごときに国王軍が総出になるわけないけど… 漏れてるんだろうなぁ、っていうか漏らしたしなぁうちのバカ王子…」

 今度は机に突っ伏して大きなため息混じりに嘆きました。机の上にきれいな藍鉄色(←注:ググれ)の髪が広がります。

「もう私もグルだってばれてるんだろうなぁ… 何で捕まえにこないんだろうなぁ… 王子は堂々と城にいなさいっていうけどなぁ…」

 執行の日まであと2日。国が誇る代表的戦力といえば聖女様の御力と、とても信じられませんが今ここで倒れている細身の美人さんの双拳です。この二巨頭で国の有事は大抵なんとかされてきました。身柄を確保しにくるような身の程知らずがいるとは思えません。
 それに王国側としても自信がありました。たとえ実戦経験の乏しい平和ボケした王国の軍隊でも数が群れたらそりゃあもうエライ騒ぎです。英雄がひとりふたり居ようとも、圧倒的な数に物を言わせた軍勢の前では時間の問題。そのことが分かっているので美人さんはずっとクダを巻いていました。

「あのオジサマLOVELOVEロリ聖女は多分何もしてこんやろけど… あたしゃ人間やで?!」

 伝染(うつ)ってる、伝染(うつ)ってる! ポロッポーからこんな短期間で! 酔った勢いなのかもしれませんが、なんだかすさんだ感じです。机の上に顎を乗せたままコルクで栓をされた次のボトルに手を伸ばします。コルク栓ということに気付いていないのでしょう。瓶の頭を右手で握り、回転式の蓋をあけるようにひねりました。

 ビキッ! という音とともにボトルの首がもげました。あらー、じゃないです。こっちはgkbrです。一人で十分軍隊と渡り合えそうな気がしてきました。空になったグラスにお酒をなみなみと注いで、ぐいっと飲み干します。誰も聞いていない独り言が続きます。

「王子のことだからこの作戦で私に話してないことなんていっぱいあるんだろうケド、ただ暴れてやればいいのかしらね… ってか、本気だしたら負けるわけ無いじゃん。相手が魔女とかカンケーねーし! あの時は油断しておっちんだ、とか恥ずかしくって言えるわけないっスよ…」

 ビミョーに王子に言われたことを根に持っているようです。というか、酔ってるせいで話の内容がとびとびでぐちゃぐちゃです。

「三人と二匹で静かに暮らす〜? なーんで私が頭数に入ってんのよぉ。王子エロ〜い。ハーレム気取りってやつ〜? アレの時とかどーすんのよ〜? えー、あたしゃヤやで〜。3○とかありえんしー」

コラ! 誰か止めろ! はやく! ナイス、アサシン! はやく…あわわ、肉塊が!

「…フッた男の手助けなんて、やめちゃおっかなぁ」

 突然現れた刺客を片付け、ちょっと冷静になったようです。しっかり王子の計画の一端が伝わっていることの証明にもなりました。
 机に戻ってお酒を注ぎなおし、きゅーっと喉に流し込みます。もう立派な飲んだくれです。また顎を机に乗せて、何気なく窓の外を見ました。月明かりの中、大きな影が遠くに飛び去るのが見えました。その背中には大きな槍を携えた者が乗っていました。酔っ払っていてもそれが何なのか彼女はしっかりわかっていました。

「…バカ、バカ。バカ王子…」

 窓とは反対の方に顔を向けました。同時にこぼれたしずくが跡を残します。しばらくくすんくすんと鼻を鳴らす音がしていました。突然ばっと立ち上がって窓を開け放ち、大きな影が飛んでいった方角に向かって叫びました。

「私が死んだらロリ聖女にすがって、絶対生き返らせろよバカヤロォオオオオオっ!」

 静まり返った真夜中に、一人の女の人の声がこだまします。息を切らせた美人さんは窓を閉め、また一人で寂しそうにグラスにお酒を注ぎました。


投稿者 クロクロシロ[47]
投稿日時 2009年04月18日(Sat) 00時22分13秒
投げっ放しでごめんなさい。
れいちぇるさんが一緒に書き続けてくれている事を失念していました。
良いとこ全部持って行ってしまう感じがしてちょっと、気遅れしていたのですが…。
気遅れするなら思わせぶりな作戦をほのめかす前にしろーって話ですよね…。申し訳ない;;
とりあえず、書ける時間を見つけて、もうぐんぐん進めちゃいます。
最終話とか、勝手にやっちゃっていいのか分からないけれど…。
物語である限り終わらせないと意味がないと思いますので。
クロクロシロはこの話を勝手に終わらす事にします。
書き足りない人は早いうちにぐんぐん話を展開させていくのがいいかもしれません。

投稿者 クロクロシロ[48]
投稿日時 2009年04月18日(Sat) 00時22分52秒
【45話】

下準備は整った。

今日の正午が魔女…アリス処刑の日時だ。

「なんとか、間に合ったね…」

本当にぎりぎりだった…。
あれだけ大見得切っておいて、間に合いませんでした。
とか、ちょ、タイムアウト!とか。
無いよな…。

情けなさすぎる自分がやけにリアルに想像できるのはなぜだろう。
幸先悪いにもほどがあるっての。

「…たく」

幾晩も行動を共にした槍を改めて握り直す。
魔力の片鱗すら感じさせない無機質な材質の槍は確かな重量感を掌に伝えてくる。

残された魔力の絶対量を測れなかったために、予行練習の一切は行えていないまま魔槍はその力を放出しきってしまっていた。

これじゃ、ただの槍と変わらないな…。
ただ、実際がどうであれ、父上や国民にとってはこれが魔槍であると、認識させなければならない。
まぁ、不安なことばかりじゃない。
ピエトロが助かったのだってその一つだ、彼が動ける事で計画の重要な部分に大きな効果が現れる。

「成功率は、ちょっと計算できないけどね」

いろいろな要素が組み合わさって完成した下準備が、いざ本番でどう動くか。
卓上では間違いなく成功をおさめるけれど…。

「せめて、アリスの今の状況がもっと正確にわかれば…」

アリスの精神・身体的な心配はもちろんのことだが…。
問題はアリスが魔法を使えぬよう、どのような対策がなされているかだった。

ほとんど個人で国と戦うという枷は大きい。
どうしても作戦成功にはアリスの魔法が大きくかかわってきてしまう。
いざ処刑されるとき、アリスに魔法対策を何かしらしているはずだが、それをどう越えるかにすべてがかかっていた。

「魔法対策の対策か。」

処刑数日前から、処刑場につくその瞬間まで、罪人がどうなっているのかは処刑を行う者たちと王以外知ることはできないのだ。

「王族ですら頂点に立つものでなければ確認できないだなんて…」

王族の誰かが過去に処刑の瞬間問題を起こしたとしか思えない法だ。
まったく、先人も面倒なことをしてくれる…。
事が終わったら、そのことについて調べてみるのもいいかもしれない。
もしそいつの、墓だかなんだかが残されてたら蹴り壊してやる。

あんたのおかげでハードル上がりましたよってね。

「やっぱり、ぶっつけ本番か」

本来だったらこんな行き当たりばったりな手段、自分は使わない。
でも、それでも強行するのは、時間がないというのもある。
しかし、それだけじゃない

実は、アリスの魔法封じにある程度は予想がついているからだ。

ただ、予想がつくということは、予想が外れた時に混乱してしまうという面も併せ持ってしまう。

だから、どのような事態に陥っても考えるのをやめてしまうのだけは頂けない。
自分は考え続ける。
それが、みんなの命を預かる責任だ。

自然と出た溜息は今日で何度目か。

「偉そうなこと言っておいて、僕も結局不安なんだよな…」

盤上で競う競技とは違って、実際に命を落とすのは敵味方どちらにしたって、自分の知っている人間で、そうなったとき自分はどうするのだろうか。

上に立つ者の重圧。
それがこれほどだなんて、思ってもみなかった。

頭の回転が上がるよう、適度な空腹を保つために朝食を少量にしたというのに、ものすごい食べた後かのような吐き気が体中を駆け巡る。

「くそ……父上はこんな世界で戦っているのか…」

いや、もっと…か。

いずれにしたって、今日という日は着てしまった。
もう、あと戻りはできない。
ならどうする。
横道に逸れて、家族ごっこを続けるか?
アリスや、ピエトロ、ポロッポー、アルファーネを裏切って?

ありえない。

突き進むしかないさ。
突き破れない壁があるのなら、扉とそのカギを探すまでだ。

「幸い、ぼくだけで戦うわけじゃない」

協力者はアリスも含めて4人、いや、もっと。か。

自然に浮かんだ笑みをなんとか飲み下し。
僕は最後となるだろう、部屋に背を向ける。

投稿者 れいちぇる[49]
投稿日時 2010年08月10日(Tue) 19時27分03秒
 こんばんは。このスレッドを初めてご覧になる方も多いと思います。1年以上も未完のまま置いてしまって、参加者のひとりとして申し訳なく思っています。さすがに風化、化石化してしまいそうな状態ですので久しぶりに投稿させていただきます。
 目を通して下さる方がじわじわと増えている事実を考えると、僭越ですが少し物語を進めてみたいと思います。

…ちょいと分量が2000字で納まらなかったものですから、2話にわけさせてもらいました。


【46話】

 時はほんの少し戻って処刑前日の深夜です。
 ぎぃ、と金属が重くすれる音とともにほのかな明かりが入ってきました。壁に設けられた燭台に衛兵さんが火を灯していきます。この国ではスイッチ一つで点く電灯が主なのですがこの地下牢はとても古くからあって、電気が通っていませんでした。明かりを点け終わった衛兵さんが戻っていくと、今度は二人の人間が入ってきました。

「あらあら、良い様ね」

 日の光も月の光も届かない暗くてなにやらツンとした匂いであふれた地下牢の中で、幼さも感じる声が響きました。檻の向こうにいる人がぼんやりと顔をあげました。ゆらゆらとゆれる蝋燭の光に映し出された姿が少しまぶしくて、目を細めます。

「…まったく、あの威勢はどこにいったの? いつもの勝気で不遜、強引にmy wayなあなたがそんな調子じゃ私のやる気も失せるってモノよ」

 牢屋に入れられた人に声をかける人は金糸の刺繍をあしらった真っ白なローブを羽織り、ちいさな背丈のくせにふんぞり返って精一杯見下すような姿勢を取っていました。

聖女様です。

 言動や資質が伴っていない、この国のリーサルウェポン、聖女様でした。本当ならば誰の面会も認められない処刑の前日。ですが聖女様のお願いとあらば、王様も二つ返事で特例を認めます。

「…もう時間? わかりました、行きましょう」

 牢の中にいた人はぽつりとそれだけ言いました。その無気力で投げやりな力のない声を耳にした聖女様は奥歯をぎりっと噛みしめ、がしゃんっ! と鉄格子を叩きました。何度も何度も叩きました。檻に手を触れないでください! という衛兵の声は無視です。中の人は怯えきって、隅っこの方で縮こまっていました。

「何だ貴様! それでも『戦場(いくさば)の魔女』、『硝煙の死神』か! 魔法をロクに使わないくせに私のパーフェクトゲームに泥を塗った初めての糞野郎がこんな醜態を晒すだと? 今ここで絞め殺してやるからこっちに来い!」

 鉄格子を両手で掴み、噛み付くような剣幕で怒鳴り散らします。檻の隙間から魔女アリスの首根っこをひっ捕まえようと手を伸ばします。気品も何もありません。お付きの朱い髪をした背の高い男性が羽交い絞めにしました。足は宙に浮き、じたばたと駄々っ子のように暴れる彼女は、怒りに任せて右足のかかとで思いっきり背後の男性の股間を蹴ります。

 がんっ!と音がするとともに静かになりました。男性は平気な顔をして立っています。聖女様はうなだれて涙を浮かべていました。ファウルカップは戦士の身だしなみ。踵から全身に昇る鈍痛に唇を噛んで耐えています。朱い髪と瞳をしたお付きの男性はため息を漏らしました。

投稿者 れいちぇる[50]
投稿日時 2010年08月10日(Tue) 19時40分48秒
続きです。
 あ、あとこのスレの趣旨を再確認です。この後どなたがどのように書き進められても構いません。そこのあなた、新しく参加してみませんか? サイドストーリーで攻めるのも、本当にエンディングを迎えに行くのも自由! それではよろしくお願いします。



【第47話】

 おとなしくなったので地面に降ろされた聖女様は涙目となった愛らしい顔を上げて、隅っこで怯えている少女に向って話しかけます。

「あなた、使い魔を失ったそうね」

 牢屋の中の人がぴくりと肩を動かしました。

「いい気味ね。あなたが無茶をやらかしても傍で必ず守っていた存在を、あなたがやった無茶のせいで失うなんて。本当にいい気味」

 顔を上げ、四つんばいのまま鉄格子の傍にまでやってきます。口にしませんでしたが、自分の耳が信じられないと言わんばかりの目でした。何度も首を横に振っています。

「死んだって言ってるのよ、あなたの黒猫」

 そんなことはありません。確かにピエトロの受けた傷は大聖堂の治療者(ヒーラー)ですら難儀していた重傷でしたが、聖女様が見事に治癒させたのです。何故そんな嘘をつくのでしょう。その一言を聞いた数秒後、少女の両目から涙があふれました。

「嘘… 王子様が、王子様が助けてくれるって言ってたの… 王子様が、もうすぐ良くなるって、そう言ってたの!」

 思わず鉄格子を掴むと、全身に電気が走ります。付けられた腕輪と牢の鉄格子には特殊な法術が施されていて、囚人が暴れようものなら今のように制裁が加えられます。小さく悲鳴を上げて少女は鉄格子から手を離し、地面に這いつくばりました。伏した少女と目を合わせるようにしゃがみ込んで聖女様は続けます。

「気休め、って言葉知ってるかしら? あの王子、少なくともあなたのことを嫌ってはいないわ。どちらかと言えば好いてるはずよ。でも、だからこそあなたの生きる意志を奪うようなことは言えなかった。事実をね」

 なおも痛烈な言葉を浴びせました。違うと信じたい気持ちとは反対に、あの傷を見て、そしてそういった傷を受けた人がどうなったのかたくさん見て知っている彼女の中の理性が、聖女様の言葉が真実であると告げます。

「どうかしら、今まで奪ってきたあなたが今度は奪われる側になった気分は。使い魔を失い、魔力を封じられ、そして今はその使い魔に守られてきた命を失いつつある」

 立ち上がった聖女様は這いつくばったままの少女に言葉をぶつけ続けます。少女アリスは耳を塞いで、地面に額を擦りつけながら声をあげることなく泣き続けていました。

「耳を塞ぐな! 顔を背けるな!」

 聖女様が少女アリスの首に付けられた金属製の首輪を掴んで引き起こします。涙と砂埃でぐしゃぐしゃに汚れ、みっともない顔を隠す事無く、発する言葉も無く、両腕は力なく垂れ下がっています。

「…どうして欲しい」

 そんな姿の彼女を見ていられなくなった聖女様の方が耐えかねて口を開きました。立ち上がらされた少女は何も答えません。

「どうして欲しい、と聞いているッ!」

 やはり目を背けたまま何も答えませんでした。

「私は誰だ? お前は誰だ? そのことをお前はよく知っているだろう?」

 聖女様は待ちました。腕がぷるぷるしてきても、息が少しずつ上がっていっても、一生懸命一生懸命相手の体重を支えながら待ちました。

「………さい」

聖女様は、もう一度聞こえるように言うよう命令しました。

「助けてください… わたしのことはいい。ピエトロを、わたしの一番大切な人を助けてください… お願いします…」

 ぷるぷるしていた聖女様の腕が限界に達し、少女アリスは膝立ちの状態でした。自分の首を掴む聖女様の腕にそっと手を添え、すがる様に喉の奥から声を振り絞って頼みます。

「本当にバカね」

 魔力を封じる法具から手を離し、背を向けます。支えを失った少女の軽い体が、とさっと地面に降りました。

「あなたが死んだら使い魔はどうなるの? 一蓮托生、彼らのことを思うのなら、まずあなたが生きることから始めなさい」

 ボロキレを身に纏った少女はお尻と手を石造りの床についたまま、高貴な姿を見送ります。

「それからもう一つ」

去り際に聖女様が後ろを振り返る事無く声をかけました。

「この国の法具と護符には全部私の力が込められているの。今、無駄なことはしない方がいいわ」

 衛兵が敬礼をして、地下牢から出て行く聖女様を見送ります。彼女はさっきまでの野蛮な感じを一切感じさせない美しい笑顔で答えます。その後しばらく衛兵さんはデレデレとした情けない顔をさらしていました。

 少女アリスにかけられた言葉。この意味がわかるのは、もう少し後になってからでした。

投稿者 れいちぇる[51]
投稿日時 2011年05月20日(Fri) 21時10分56秒
 こんばんは、れいちぇるです。
 更新が途絶えてからまたすごく時間が経ってますね…。今回はストーリーを上げるわけではないのですが、ご連絡のために書き込みにきました。

 このリレーに参加したものとして、しかも現在46話中21話も担当した(←やりすぎ)以上は完成させてあげたい! と強く思います。そこで、失礼と知りながら、そして僭越ではありますが一本の作品として書き上げたいと思い、連絡にあがりました。

 たぶんここに上がったままではなく、かなりの魔改造となると思われます。各回担当してもらった作者様達のお名前を併記させて下さい。読んでいただいた時、面白かった! と絶対言ってもらえるように頑張ります。

 完成した暁にはまたご報告にあがりますので、よろしくお願いします。

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