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あの夏の日をもう一度 -夢の日- 作者:TOMO

第2回   第一話
大きな翼を広げ飛んでいく
自由に生き、自由に飛ぶ
あたしもそんなふうに生きたい

『夜、帰るぞ』
薩華夜は教室のベランダから青い空を見ていた。
長い髪が風で靡く。
『帰るぞ!!!』
男の子が月の頭を叩いた。
夜は男の子を睨んだ。
『何するのよ!!!』
『帰るぞ』
男の子は夜に鞄を差し出した。
鞄には大きなリボンがついていた。
どうやらネクタイのようだ。
『今日來ちゃんと良くんが来るんだっけ?』
『そうだよ、俺はおばさんにお前のこと頼むって言われてんだよ』
夜は男の子から鞄を貰って一緒に歩き出した。
男の子はとても長身で真面目そうだ。
『たっく・・・なんでお前が俺の従姉なんだよ』
男の子の名前は薩華大樹。
夜の従兄だ。
『あのさー、あたし放課後2年生の人に呼びだしされてるんだ』
『んだよそれ!?さきに言えよ』
大樹はため息をつき、夜の鞄を取った。
『これもって帰っててやるから早く帰ってこいよ』
『ありがとー』
夜がニコッと笑うと大樹の顔が少し赤くなった。
大樹は夜に背をむけて歩き出した。
それを見た夜は急いで教室に戻った。
教室には1人の女の子と2人の男の子がいた。
『大樹おっぱらってきたよー』
女の子は夜を待っていたのか鞄をもち椅子から立ち上がった。
『それじゃ、行こっか』
『あーあ、なんで俺がお前なんかに付き合わなきゃなんねーんだよ』
男の子の1人が大きな声で言った。
夜はその男の子の方を見ると近寄った。
『そんなに嫌だったら別に付いてこなくていいんだよ』
『俺は付いて行きたくねーけど陸也が行きたいって言ってんだよ』
『だったら陸也くんだけ来てくれればいいもん、聖くん帰りなよ』
男の子の名前は西門聖。
ワックスをつけているのか髪が立っていた。
『聖やめろよ』
聖の隣に居た男の子が言った。
この男の子の名前は長渕陸也。
聖と正反対の容姿で真面目そうだ。
『ごめんな、夜。聖も悪気はないんだ』
『陸也くんがそういうならいいよ』
夜はニコッと笑った。
それを見た聖は舌打ちをした。
『なんでもいいけど行こうよー』
女の子はすでに教室の外にいた。
『待ってよー』
4人は教室を出た。

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Novel Editor by BS CGI Rental
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