『つー夢見た』 『何よそれ?!面白すぎ』 夏は馬鹿笑いをしながら紫苑の話を聞いていた。 その夏を見ながら紫苑は眉を動かしていた。 『笑いごとちゃう!!!ホンマにびびったんやで?!』 『そんな夢見るくらいならみんなにばらしちゃえばいいじゃん』 『そんな軽いこととちゃう!!!みんなのうちの印象は・・・大人しくの一言や!!!そんなうちが関西弁で・・・』 紫苑は頭を抱えながら机に座った。 夏は紫苑の机の上に座った。 『別に紫苑が関西弁で喋っても下品でもいいじゃん』 『下品とは一言も言ってへんで』 『てゆーか普段でも標準語で話せばいいじゃないの』 『それができたら苦労せーへん』 紫苑は立ち上がりグラウンドを見た。 グラウンドでは男子はサッカーをしている。 女子も何人かいるが男子がしているサッカーを応援しているだけだ。 『うちもフツーの女の子がええ』 紫苑はぼそりと言った。 夏はそんな紫苑を寂しそうな顔をして見ている。 『紫苑は普通の女の子だよ』 『・・・ありがと』 夏は気を利かせてか教室を出た。 教室に1人残る紫苑は夏が出て行った後もグラウンドを寂しそうに見ていた。
『来週の大会はもう知っていると思いますが自分がやりたい種目を選んでください』 今は放課後のHR、紫苑は教卓の前に立ち言っている。 『別になんでもいいんじゃないの?生徒会長さんが選んでよー』 女の子が立ち上がって言った。 『私が選んで自分が嫌な種目になっても文句は一切聞きませんよ。それでもいいですか?』 紫苑は厳しい言い方で言った。 女の子は座って近くにいる女の子たちにグチグチ言っている。 すると女の子がわざとらしく言った。 『うちらは別にこんなことしたくないもんねー』 この企画を考えたのは生徒会長の紫苑だった。 その紫苑に嫌味を言っているとしか思えない。 紫苑は軽く女の子を睨んだ。 誰もそのことには気付いていなかった。 『んなこと言うなよーこの学校ただでさえ行事すくねーのによせっかく西坂が増やしてくれたんだぜ?もうちょっと楽しもうぜ』 女の子の言葉でにごんでいた空気が男の子の一言で明るくなった。 男の子の名前は新島魁星。 2年4組の盛り上げ役、そして紫苑のことを【生徒会長】以外で呼んでくれる者の1人。 『魁星がそういうのなら・・・ね』 女の子は悪気はなさそうな言い方で言った。 『では、自分で種目を選んでください。希望者が多くなった場合は自分たちで決めてください。』 紫苑は教卓に置いてある紙を取り配り始めた。 紙を配り終えると自分の席に行った。 女の子たちはまだ何か言っている、 だが紫苑は席に座るなり窓の外を見た。 青い空に一羽の白い鳥が飛んでいる。 それを見ながら紫苑は寂しそうに笑った。
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