『では、大会の種目の紙くばります』 2年4組の教室は生徒会長、西坂紫苑のクラス。 今は今週の日曜にある学級対抗の大会の種目の紙を配っている。 紫苑は機嫌悪そうな顔をしている。 その原因はクラスのやかましさ。 紫苑が教卓の前で話しているというのに4組の生徒は喋っている。 『自分の希望の種目を選んで下さい』 紫苑がそう言っても生徒は喋っているだけ。 『さっさとせーや・・・ボケ』 紫苑は小声で言った。
紫苑は時計を見た。 紫苑が言ってから5分は経っていた。 『選んだと思いますので黒板に名前を書いてください』 選んでねーよなど文句が返ってきた。 紫苑が軽く舌打ちした。 すると1人の女の子が手を上げて立ち上がった。 『めんどいからー生徒会長さんで勝手に選んでー』 『(何が勝手に選んでだよ・・・しばくぞボケ)』 紫苑は心の中でそう思った。 生徒は女の子の意見に賛成した。 『んじゃ、勝手に決めます』 紫苑は自分の席に戻った。 紫苑の席は窓側の一番後ろ。 イライラしながら席に座った。 『しおーん、イライラするな。真面目に考えてた人だっているんだぞ』 『分かってる』 紫苑の前の席の声が話しかけてきた。 この女の子は古塚夏、紫苑の本性を知っているだた1人の親友。 紫苑はイライラしながらもあみだクジで1人1人の種目を選んだ。 その作業が終わると教卓に戻った。 『勝手に種目を選びました。黒板に書きますので自分の種目を覚えてください』 紫苑は黙々と名前を書いた。 生徒はそれを見ながら最悪などの声が上がってきた。 紫苑が全て書き終えるとさきほど立ち上がった女の子がまた立ち上がった。 『ちょっとまってー!!あたし柔道なんて嫌なんですけどー、もう1回選びなおしてくださーい』 紫苑は教卓を思いっきり叩いた。 クラスがいっきに静かになった。 『自分たちが適当に選んでてゆーたやろ?文句ゆーな』 紫苑は笑顔だがかなり怒っていた。 女の子はびっくりした表情をして座った。 『あーあ・・・』 夏はため息をついた。
『どないしよ・・・うちの本性ばれたやろか?!』 紫苑は頭を抱えていた。 『あれはびっくりするねー・・・せっかく1年間隠してたのに』 夏はゲラゲラ笑いながら言った。 『やかましー!!!せっかくの1年間がパーや・・・』 紫苑はため息をついた。 『そんなの言ったって仕方ないよ。もうバレちゃったし』 『人事と思って・・・』 『人事だもん』 夏は紫苑の頭に手を置いた。 『別に本当の自分見せても良いんじゃないの?』 夏はさきほどの顔と違って真剣な顔になった。 ガタン 教室のドアが開く音が聞こえた。 紫苑と夏はそろってドアを見た。 ドアの近くに男の子が1人立っていた。 『新島くん・・・なに?』 この男の子は新島魁星、クラスの人気者。 『いや、さっきのかっこよかったって思って言いにきた』 魁星はニッコリ笑った。 『どうも』 紫苑は魁星に背を向けた。 魁星はどこかに行ってしまった。 『喋れるチャンスだったのに・・・もったいない』 『やかましー!!!あんなんあとにしゃべれるかちゅーの!!!』 紫苑の顔が赤かった。 どうやら紫苑は魁星が好きらしい。 『なんでもいいけど・・・もう1人男の子きてるよ』 紫苑がドアの方を向くととても背の高い男の子が立っていた。
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