「おにいちゃん・・・これからどうなるの?」 恵美が不安そうに俺に問いかける、でも俺だってわからない。 「大丈夫俺がついてるから・・・」 そういったみたものの全然大丈夫な気がしない。 よく分からない空間に閉じ込められてどのくらいの時間が過ぎたのだろうか? 1時間?それとも丸1日?時間の感覚さえぼやけてきた、とにかくここがどこなのか分からない・・・でも不思議にこの空間は居心地が悪くなかった。 周りを見渡すと段々と輪郭のぼやけるのが酷くなっている。まるで、度の合わないメガネをかけたようだ。それも時間がたつごとに少しずつ形が崩れて行ってるような気さえしだした。 「恵美、あるけるか?」 「うん」 取り合えずここにいてもなにも始まらない、そう思ってすこし移動してみることにした。しばらく歩いていると頬にかすかな風を感じた。 「おい、風だぞ、もしかしたら出られるかも・・・行ってみよう」 かすかな風を頼りに奥に進んでいった。 段々と周りが灰色になっていく、不思議に暗くはない。 いつしか夢中になって風を追いかけた。 「おにいちゃん、何もないね・・・?」 恵美の言葉にふとわれに返った。 「ああ、そうだな、でも風はこっちから・・・あ!?」 ふっと風の吹いた方向をみると、そこに独りの少年がたたずんでいた。 俺は声をかけてみた。 「おい、大丈夫か?ほかに人は?」 少年が答える。 「いらっしゃい、僕の空間に、ここは僕と君たち以外誰もいないよ」 その幼い様相からは創造できないくらい、しっかりとした話し方におどろいた。 「ど、どういうことだ?」 「さっき言ったとおり、ここは僕の空間君たちが住んでいた世界とは別なんだよ」 「何を分けの分からない事いってるんだ?ここが異次元だって?からかうなよ!」 俺はなぜかパニクッてしまいかなり強い口調ですごんだ。 「おにいちゃん、相手は小さい男の子だよ」 そう恵美にたしなまれて平静をとりもどした。 「す、すまない・・・説明してくれないか?いきなりのことで訳分からなくなって」 「いいよ、こっちに」 そう少年が案内する方向に行くと周りの輪郭がはっきりしだした、まるでどこかのホテルの一室のような空間にでた。 「さあ、かけてよ」 そういわれ俺と恵美はそこにあるソファーに座った。 「僕の名前はイル、ここの空間を管理する物さ」 「俺は直樹、こっちが妹の恵美・・・空間を管理するってどういうことだ?」 「君たちみたいにたまに、異次元から迷い込んでしまう人たちがいるんだよ、それを管理するのが僕の役目」 「管理・・・て元の世界にかえれるのか?」 「さあ・・・どうだろうね?それは僕にはわかんないよ」 「なんだって!!」 思わずテーブルを思いっきり叩いてしまった。 「お、おにいちゃん落ち着いてよ」 「ああ、悪かった・・・」 「話を続けるよ、一応言っておくけど、別に僕が君らを呼んだ訳ではないんだ、君達が迷い込んだ、元の世界に帰れるかどうかは正直君達次第なんだよ」 「じゃあ、俺達はどうすればいいんだ?」 「選択肢を用意してあげる、そこから選んで、後は好きにして、返れるかどうかは僕にはわからないよ、出来るだけ協力はしてあげるけどね」 「ああ、すまない」 「選択肢は3つ一つ目はここで暮らす、ここは時間が流れえてないからいつまでいても年はとらないよ。もう一つはここからまた別の次元への入り口を教えてあげる、でもこれはどこに行くかは分からないよ、下手すると、異次元に入った瞬間死んじゃうってこともあるかもね、フフ」 そういうと不気味に少年は微笑んだ、なんか気持ち悪い。 「もう一つは?」 「3つ目はここで死ぬ。簡単だよ、苦しまないようにしてあげるからね」 「ふ、ふざけるな!!」 「なんだよ、怒らないでほしいな、僕は管理人の仲でも異次元から来た人には親切なほうなんだよ、酷い管理者になったらいきなり殺したりしちゃうんだからね」 「う・・・」 「おにいちゃん、がんばろうよ、どうにかなるでしょ?」 恵美が俺をなだめながらいう。 「ああ・・そうだな」 「時間はたっぷりあるからよく考えてね、決まったらいつでも呼んでよ」 そういうと少年は部屋から出ようとする。 「あ、そこのベットとか自由につかってもいいから、少しやすんだらいいよ」 「ああ、ありがとう」 そういうと少年はふっと消えてしまった、正直もうなにがあっても驚かないな、俺。 とりあえず、一眠りすることにした。
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