「なんか頭痛くなってきた・・・」 人ごみに酔ったのかな、俺は頭痛もちなんかじゃないんだけど。 「寝不足でしょ、早く」 そういいながら容赦なく恵美が引っ張る、恵美の目的地は・・・ここらしい。 「じゃじゃ〜ん!見てよこれ!」 テンションの上がる恵美に言われた方を見ると、そこには。 「デッカイツリーだな、・・・けどまだクリスマスには早いんじゃないか?」 目の前に在るのは下手すると小さな雑居ビルより大きな大木だった。 「違うわよ、まあクリスマスになれば飾るでしょうけど、そこ見てよ」 言われるままに見ると看板に説明が書いてある。 「なになに・・・幸せの木?1000年に一度見つかるかどうかの奇跡の神木?胡散臭くないか?」 そういうと恵美にかかとで足を踏まれた。 「痛いな!」 「お兄ちゃん夢の無いこといわないの!願いの叶う幸運の木だって有名なんだからね」 女の子はこうもそういう願い事だの、占いだの好きなんだろうか、俺にはあまり理解できない。 「俺は向こう行ってるからな」 「ちょっとお兄ちゃんったら!」 俺は恵美を置いて自分の買い物をさきに済ますことにした。 これは後で恵美に聞いた話だけど、前島先生が幸せの木の前で手合わして拝んでたらしい、なんかちがうだろ? まあ取り合えず買い物をすまして戻ってみるとまだその木の前に恵美がいた。 「まだそこにいたのか?」 「いいじゃない別に、友達にも頼まれてるんだ願い事」 友人数人に頼まれた願い事を頼まれていたらしい、直接来ればいいのに、ってこの人ごみじゃ行く気しないよな。 「もういいんだろ?」 「え?うん」 「じゃあ、飯にしよう、今日はおごってやるよ」 「え?ほんと?やった〜」 喜ぶ恵美をつれて2階にあるレストラン街に向かった。
「おい、高くないかここ?」 どう考えても俺たちに無縁な高級レストランばっかり並んでいる。 「だ、だね、あここ安いよ・・・この中では」 恵美が指をさしたメニューはお子様ランチ・・・1500円っておい! 「二人そろってこんなもん食えんだろうが」 「・・・そうだね、ちょっと全体的に高すぎるよ」 ちなみにお子様ランチの次に安かったのが、イタリア風プレーンオムレツ、1800円・・・舐めてるだろ? 「外で食うか?じゃないと俺破産だ」 「うん、そうしようよ」 ということでショッピングモールを出て、いろいろと探したが以外に店が無い、結局唯一見つけた牛丼屋で昼食を済ますことになった。 「・・・なんか悲しい」 「言うな恵美、俺も悲しい」 別にそうでもないが損した気分で店を出た。 「あ、わすれてた!」 恵美が突然いいだした。 「ん?どうした?」 「美月ちゃんの願い事いうの忘れてたの」 「おい」 どうでもいいだろ・・・と思いながらもどうせ駅にいくんだし、もう一回ショッピングモールによって行くことにした。 「なんか曇ってきてないか?」 来るときは雲ひとつ無い晴天だったのに今にも振りそうな雲が空一面立ち込めている。 「だね、いそごうよ」 俺たちは急ぎ足でショッピングモールのある駅に向かった。 まあ駅に着けばアーケードがあるし雨にぬれることはないだろからな、それに降ったら母さんに駅まで傘持ってきてもらえばいいし。 そんな楽天的なことを考えていた。
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