あるとき僕は言いつけを破った。 それは誰の言いつけかはわからない、この世界に来たとき確かに言われた事。 これは約束を破った罰なんだ。 でも分かった欲しい、本当に僕は・・・寂しかったんだ。 もともと違う世界にいてた・・・ちがう、これは元の記憶を忘れているときに思い出す記憶、虚実の記憶なんだ。 僕は誰にか分からないけど、ここのいるためだけに造ってもらった存在。 初めて目を開けたときに言われたんだ・・・ずっとここに居なさいって。 でも僕は寂しかった、だから誰か分からないけどあの方が僕に楽しい記憶をくれた。 僕はうれしかった・・・すごくね・・・ でもその記憶は本当の記憶じゃなかったんだよ。 事実ではない、そう記憶だけ。 本当はずっと独り、ここに時なんてものはないから分からないけどずっとひとり・・・ 流れ着くものなんてなかったよ、なにも変わらない、そう何も無い。 僕はその記憶だけでは我慢できなくなった。 そして僕はこの空間から逃げることにしたんだ。 ここじゃない空間なら、きっとなにかがある、何かが起こる。 そう、本物の記憶を得るために・・・ でもここは出れない空間、あの方は落胆しただろうね、怒ってたかもしれない。 だから僕が逃げないように定期的に記憶を消して違う記憶に変える。 いまの記憶も、もうわずかで消して・・・そうまた最初からだよ。 次はこの記憶で無いかも知れたい・・・記憶を消されたこともいまこの記憶もなくなっているかも、そうなれば僕はもう僕ではなくて僕だけど、僕じゃないんだよ。 たぶん今の僕も、前の僕ではないと思うからね・・・。もうすぐだね、もうすぐ最初からになる。記憶も何もかもね、でもそれはあの方のやさしさなのかもしれないな。 そしていつまでもここに在る、ここに唯一存在する そう、だって僕は刻の番人だからね。
だって僕は・・・
・・・・
僕は・・・
・・・・
僕は刻の番人、この何も無い最果ての地に存在している。
〜END〜
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