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刻の番人 作者:Mr.瀧川

第2回   第二章 追憶
そうそう、何年くらい前かな?まあここじゃ時間はあまり意味を持たないんだけど、珍しく人間が迷い込んできた時があったな。
 えーと、たしか・・・名前はシャークとかいったかな?彼が来た次元では戦争ってのをしてて、彼は兵士で戦場で戦ってたらしい。
 とてつもない威力のある兵器があってそれの開発実験をしてたとかいってたっけ?
 そして実験中に・・・え〜と、なんていったかな・・・かくり・・・いや、なんだったかな?ともかくそのかく・・・なんとかが暴走して気がついたらここに来ていたって。
 運がいいよね彼は、普通ならきっと死んでいたんだろうけど、僕に出会ったのは不幸中の幸いってやつかな。
 でもここからちゃんと元の次元に帰れるかは疑問なんだけどね。
 彼はどうしても帰りたいっていってたよ、僕もここにいるの長いから、以前ここに流れ着いた者たちの結果を統計学上なんで完璧では無いと思うんだけど、大体帰る道は分かるんだよ。
 なんで分かるかって言うと、間違って道を進むと一生出られない。初めてここに来た者はどうすれば死なないか知らないから結局しんで僕のいる場所にまた流れてくるんだ。
 何も知らない奴が帰れる確立は半々だね。
 僕は彼が帰るべき道を分かっていたんだけど、教えなかった。
 だってせっかく客人が来たのにすぐ返したらまた一人ぼっちになっちゃうからね。
 彼と過ごした時間はすごく楽しかったな〜。
 僕の知らない話が多いからすごく楽しめた。それにやっぱり一人ぼっちより誰かそばにいてくれたほうがいいもんね。
 僕も彼にここでの生き方を教えてあげた。
 一番大切なのは死ぬことを考えないこと、つまり死なないと思っていれば死なないんだよ。
 この次元は精神的な部分が多いからね。
 でも楽しい時間もそんな長く続くものじゃなかった。
 彼はたぶん僕がうそをついていることをわかってたんだね、きっと・・・
 でも1年半くらいは一緒にいたよ。
 彼は元の次元にどうしても帰りたいっていうから・・・さみしくなるけど、彼のことが好きだったし、いつまでも一緒にはいれないって分かってから・・・。
 僕は彼に道を教えた。
 あとは帰りたいと強く思っていれば帰れるはずだから。
 彼がいなくなってから死体は流れてこなかった。もしかしたら次元が違ったかもしれないけど、たぶんもとの世界には帰れたと思う。
 そういえば一つ彼と約束したんだ。決してかなわない約束だったんだけどね。
 またいつか会おうよ・・・てね。
 長い間ここにいるけどここに2回来た奴はいない。
 不安定な空間だからね、ここにこれる確立はすごく低い。
 一度見送ったら二度と会えないんだ。

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Novel Editor by BS CGI Rental
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