長いキスから唇を離した。 言いようのない甘い快楽が私の全身にみなぎり、心がとろけそうになる。 私はそんな思いを気づかれないように、ゆっくりと息を吐いて心を静めた。 「真由美、あれから、何人の男と寝た?」 「どういう意味?」 「キスがとてもうまくなった」 「独学よ」 「独学で、そんなに上手くなるものなの?」 「多分ね」 私は、口元だけで笑うと、上目使いに凌ちゃんを見た。 「その続きも、お手並み拝見したいな」 凌ちゃんは、私の髪をこめかみからかきあげ、胸元に私を引き寄せると、耳元で囁いた。 私は、緊張と、快感と興奮でドキドキしていたけれども、必死にそれを抑え、少し色めいた低い声で、囁いた。 「拝見できると思ってるの?」 「真由美さんを口説くには、一筋縄じゃいかないってこと?」 「何言ってるの、そうじゃないでしょ、でもそうねぇ、凌ちゃんこそ、どれだけ口説き方が上手くなったかお手並み拝見させてよ」 「俺の場合は、今も昔も、単刀直入さ」 「例えば?」 「例えば・・・、有無を言わさず、行き先はもう決まってる」 車はホテルの前で、ウインカーを出した。
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