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短歌 作者:晶子

第1回   1
朗らかな 笑みを浮かべて 我を見る ああそのような 日々が来たれば




細い路地 ふと見いやれば 君がいた 我の驚き いかがならんや




暮れゆく日 すぐに明るくなりしのに 暮れし心は二度と戻らず




願わくば 燃える炎を消し去りて 君への思いを 灰に変えたき




通るあと 君に香りを残そうと かけし香水 ただの悪臭




問う時に ためらいながら 手を伸ばす 思い直して 手を引くおかし




君の声 かすかに聞こゆ 遠けども 息を殺して 耳傾けり




カーテンを 閉じても見ゆる 灯火に 君も今はと 我勉強す




夢の中 君出でだる日 心地よい 誠ならばと 遺憾千万




塾帰り 木陰に潜み 姿見る 目に焼き付けて 以後忘れなむ




偶然に 歩きて君に 巡り会う この運命の 嬉しきことよ




転生が ほんとにあると いうのなら 私は君の 猫になりたい




占いは 信じないよと 思いつつ 今日も無意識 今日の恋愛




おまじない すがってみようか この際に 恋は全てを 臆病にする




私の瞳 夕暮れ時に 君の瞳と 見つめ合えたら どんなに素敵




夏休み 思い出すのは あの仕草 すらりと歩く 夕暮れの道




会えないと わかっていても 止まらない 遠回りして 家に行く癖




ほおづえを ついたあなたの 物憂い目 どこを見てるの 誰を見てるの




死角から こっそり覗く お昼時 別世界にいる 君を眺めて




席替えで せめて近くに なれたらと 祈れば隣 いと驚きし




横にいる 君の袖つき 問題を 問いたきけれど いかが問わんや




何事も 似合うなりにて 君の髪 切ったといえど 相も変わらず




知る人の いない岡山 寮の部屋 夜半にや君が 一人眠らむ




すれ違う 夕暮れの道 顔伏せて 君の顔見ず のち後悔す




後ろから 君の背中に さようなら 忘れないでね そっと伝言




最後の日 彼と交わした あの言葉 思い出したら 胸が震えた




忘らるる 身をば思わず ただ祈り せめて名はこそ 覚えまほしき




果てしなく 遠く感ずる 恋心 いつになっても 心通じず




君が今 つきあってると 噂聞き あきらめるけど あきらめきれず




こんなにも 君の全てを愛すけど 顔薄れける まだ一年で




昔見た 夢ははっきり 顔うつる 今見し夢は 顔あらずなり





満天の 星を夜空に 仰ぎ見て ひとりたたずみ あなたを思う




授業後 机上に残る 消しクズを 人目盗んで つまみあげた




君いつも 洋服の色 青だから 勝手に青が 好きだと決めた




夜ごとに あなたの夢を 見れたなら 会えない日々も 幸せなのに




雑記帳 君の名ばかり 書いてある ペンを握れば 勝手に動く




受験生 一年だけと知ってても 止まらなかった あなたへの愛




隣席の 関係終わり 後悔す 積極的に すればよかった




プリントを 集めてまわる 細き腕 我の瞳を 釘付けにした




横にいて あなたの吐息 聞こえたわ 私の息も 伝わるのかな





アイスなら 彼はミントが よく似合う いつかふたりで 食べてみたいな




彼の靴 触っただけで 高鳴るの ほらこんなにも 顔が熱いわ




夏の日に あなたの笑顔 よく似合う 笑ったときの 白い歯素敵




何もかも 彼と同じの 使いたい こっそり買って こっそり使うの




一応は ハガキを書いて みたけれど やはり今年も 出せそうにない




頬杖を ついた窓際 光差す まぶしいほどの 君の横顔




君の夢 今日も見たくて 早く寝た でもそんな日は なぜか見れない




ふと気づく 今日も店屋の ペン売り場 君と同じの ペンシル求め




いつの日か 君より知った 理科社会 数学英語 消えない記憶




君がよく 着てたブランド 見かけるが 君ならずして 誰に似合うや




覚えある 声耳に聴き 振り向けば そこにいるのは 知らぬ人なり



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Novel Editor by BS CGI Rental
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