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長女の憂鬱 作者:快新平

第2回   家庭生活
 家の中でも、私と妹は比較されていた。
 私の家は、父と母、妹と私、そして祖父母の6人家族だった。

 「ばあちゃんにアンタは人の3倍勉強しなきゃ追いつかないって言われた。」

 妹が私に言った。けれど、祖父母はいつも妹をひいきしていた。



 「あんたはチエ(妹の呼び名)と違って気が利かないんだから。」

 母の口癖だった。父と母は、私たち2人を均等に見ていてくれた。




 そんなある日の出来事だった。私はその日風邪を引いて寝込んでいた。母が勤めから帰ってくると、まず私のそばに来て、
「大丈夫?辛くない?」
と声をかけてくれた。私はこのときとばかり、母に甘えた。そして、母が台所に立つ。
 すると祖母が来て私にいった。
「あんまりお母さんに甘えるんじゃないよ。チエがかわいそうだろう?」


 はっきり言うが、普段は、妹が母を独占している。食事の時だって、母の隣は妹の指定席だし、喘息もちの妹に、母はいつも気を配っていた。それでも私は、時には不満も口にしたが、十分理解してきたつもりだ。



 私は、それでも、耐えてきた。結局、私の家族はここにしかないとわかっていたから。不満もいっぱいあったし、何となく孤独感を味わう事もあったけど、これが、私の家族のかたちなんだ、そう思った。

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Novel Editor by BS CGI Rental
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