家の中でも、私と妹は比較されていた。 私の家は、父と母、妹と私、そして祖父母の6人家族だった。
「ばあちゃんにアンタは人の3倍勉強しなきゃ追いつかないって言われた。」
妹が私に言った。けれど、祖父母はいつも妹をひいきしていた。
「あんたはチエ(妹の呼び名)と違って気が利かないんだから。」
母の口癖だった。父と母は、私たち2人を均等に見ていてくれた。
そんなある日の出来事だった。私はその日風邪を引いて寝込んでいた。母が勤めから帰ってくると、まず私のそばに来て、 「大丈夫?辛くない?」 と声をかけてくれた。私はこのときとばかり、母に甘えた。そして、母が台所に立つ。 すると祖母が来て私にいった。 「あんまりお母さんに甘えるんじゃないよ。チエがかわいそうだろう?」
はっきり言うが、普段は、妹が母を独占している。食事の時だって、母の隣は妹の指定席だし、喘息もちの妹に、母はいつも気を配っていた。それでも私は、時には不満も口にしたが、十分理解してきたつもりだ。
私は、それでも、耐えてきた。結局、私の家族はここにしかないとわかっていたから。不満もいっぱいあったし、何となく孤独感を味わう事もあったけど、これが、私の家族のかたちなんだ、そう思った。
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