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伝えたい言葉 作者:快新平

最終回   天は二物を与える
 「天は二物を与えず」。こんな言葉がある。

 才能や、お金や、美貌や、そんなものを全部手にする事はできない。そんな言葉。

 でも、それって絶対嘘だ。

 今まで私は、天に二物も三物も与えられてる人を見てきた。

 すごく美人で、勉強もできて、ユーモアもあって、友達も多くて、演技力もあって。

 優しくて、かわいらしくて、いつも努力を認められて。

 真面目で、明るくて、他人にも自分にも厳しくて、人気があって。

 背が高くて、プロポーションよくて、すごい柔軟性で。

 人付き合いうまくて、何故かみんなに可愛がられて、とても強くて。



 正直、私はそんな人たちを羨ましく思ってきた。

 けれど、よくよく自分の事をかえりみてみれば、自分も天に二物も三物も与えられている事に気が付いた。

 素直。体がそれなりに丈夫。何故か笑いの取れる顔。大きな声。誰にもつかめない摩訶不思議な性格。そしてなにより、この世に生まれてきたこと。

 この程度の事でいいなら、天はいくらでも与えてくれる。それが、目立つことか、目立たないことかの違いなのだ。



 「天は二物を与えず」

 これは嘘だ。

 だって、大概の人間が、天から二物も三物も与えられているのだから。

 あなたも探してみて。自分が天から与えられたもの。

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Novel Editor by BS CGI Rental
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