ジジジジジジジ・・・・・・・・・
蝉が鳴いた。
と、思ったら僕の目の前に降ってきた。
暑すぎて死んだらしい。
それほどカンカンに晴れていた。
僕だってコンクリートを歩きながら溶けそうなくらいだ。
日本の夏は湿気があるからムワッとしてるし、みんな外へ出たがらなくなる。
でも僕はこんなに暑くっても平気。
というか、平気って事は無いけど、出かけるところがある。
そこへ行く為ならどんなに暑くってもどんなに雨が降ってても僕は最高に上機嫌。
どこに行くかって?
硝子さんのところさ。
「また来たの」
決まって彼女は僕が来るたびにそう言って微笑むんだ。
「またってことはないだろ。僕は硝子さんのことを想って・・・」
「はいはい、本日も御暑いようで・・・」
「ホントだよ。みてよこの汗」
僕は凄く汗をかいてた。
Tシャツに水がかけられたみたいになってた。
「すぐに目に付いた。アイスでもいかが?」
「いただきます」
硝子さんの部屋はクーラーが効いていて、入った途端すごく気持ちよくなった。
あぁ、硝子さんとの繋がりを話すの、忘れてたね。
彼女がアルバイトとして働いているスーパーに行ったのがきっかけ。
彼女がレジを担当していて、一目見た瞬間、この人だと思った。
まぁ、要するに一目惚れ。
その日から彼女にアタックの連続で、今では彼女のアパートに通うことを許されたのさ。
でも彼女は僕より5歳も年上だし、何を考えているのかサッパリわからない。
「硝子さぁん・・・」
「何?」
「僕達はお付き合いをしているんでしょうか」
僕がそう聞くと彼女は狂ったように笑い出した。
「何だよ・・・何がそんなにおかしいの」
少しムッとして彼女を睨むと、彼女は涙目になりながら答えた。
「だって、あまりにも鈍いから・・・」
ふふっと、まだ笑っている。
「鈍い??」
「相当」
それでちょっと気付いたけど、まだわからないふりをした。
「まぁ、このままでもいいけどね」
彼女に聞こえないように、密かに呟く。
だって夏だっていうのにちっとも日焼けしていない彼女の真っ白な肌を眺めると、それだけで癒されるんだ。
まぁ本人には、言えないけどね。
何でかって?
やっぱり彼女が好きだからさ!
|
|