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探求同盟 −未来編− 桐夜輝の日常 作者:光夜

第43回   43
『―――――町外れの廃ビル、あるよな。田島はたぶんそこにいる、たぶんろくでもない連中も一緒だろう』
そう教えてくれた城ヶ岬には帰ってもらった。せっかく罪を認めた彼が再び厄介ごとに関わる必要はないし、さっきも行ったとおり、彼も無事に戻ってくる保証は無い。どんなにがんばっても、僕は自分と真以外を無事で済ませる自信が、まったくないし、そうする気もない。
「田島、電話で母さんに聞いてみたら、ついでに調べてくれていたから、すぐに彼がどんな人間か、理解できたけど・・・・、ずいぶんな位置にいるんだね」
本名田島 勝(たじま まさる)は小さい頃に両親を亡くし、祖父母の家で生活していたが、親がいないことを理由に小学校でイジメを受け続けていた。中学に入りイジメを受けることはなくなったが、人を信用する心が欠け、さらには悪い先輩に誘われたことで彼の性格と生活は捻じ曲がっていった。飲酒、喫煙は既に経験済みで、一度薬物所持で捕まっているがこれは未経験、しかし一度捕まったことで何かが狂ったのか、暴行などを頻繁に行うようになった。
現在は不良や暴走族の数人と組んで、町で引っ掛けた女性を言葉巧みに引き込み、数人で婦女暴行を繰り返している、数人が町で捕まっているが田島 勝は物的証拠が無いためいまだに自由の身である。
そこまで読み終えて、ため息を吐いた。
「誰に罪があるわけでもない、でもだからって罪におぼれるのは、だめだ」
「ああ、僕は本当に甘いなぁ。こんなときでも、救済できるかどうかを考えてしまうなんて、真がさらわれているって言うのにさ・・・・」
そんなことを呟いて、僕は町外れにある廃ビルにたどり着いた。


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Novel Editor by BS CGI Rental
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