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探求同盟−死体探し編− 作者:光夜

第27回   27
 我が友人へ、心を込めて。私は、君を置いて遠くへ行ってしまった。君は今どこで何をしているのだろう。残念ながら私は君の居場所を見ることが出来なかった。だが、まだ君はそこにいるのだろう。私は、遠くへ行ってしまったかもしれないが、必ず君に会いに行こう。
 たとえ、この身が自由を失っても、私は君の元へ必ずたどり着いて見せよう。今は、まだ無理かもしれない、だが必ず君を見つけてみせる。友人の顔くらい、最後はちゃんと見たいじゃないか。大丈夫、人は運命の力でどんな状態でも必ず合えると聞いた。
 小学校のときから、大人になるまで、わたし達は大の友人だったじゃないか。大丈夫、君は私が裏切ったと思っているかもしれない、だが生憎と私は友人を見捨てられるほど要領よくはないのです。だから、何年、何十年、何百年かかろうとも、必ず、友人である君の元へたどり着こう。
 そのときまで、寒いだろう、痛いだろう、だが我慢して待っていてくれ。我が友人よ。


 起きたとき、視界が自棄にぼやけていた。つう、と気づいたときには頬に一本の冷たい道を感じる。泣いていた?なんでだろう。ベッドから立ち上がり、体の調子を確かめるけど、普通だった。ただ、何かが悲しかったという感情を、感じている自分がいた。
 一体、何に悲しさを感じているというのだろう。けれど、心のどこかでそれが解りかけた時、チャイムが鳴った。びくり、と体が飛びあがりそうになる。ここに尋ねてくる人間なんて、ましてやこんな早朝からなんて、絶対にいるはずはない。けれど、チャイムは確かに鳴った。
 目を擦って、僕はチェーンロックの掛かった扉を開ける。鉄の扉の隙間から、見慣れた顔が覗いていた。
 「光夜・・・?」
 「ああ、俺だ。起きたか」
 「え・・・?あ、うん、今起きたところ」
 質問されて、少し考えて普通に答えた。何だって、こんな朝早くから僕の部屋を訪ねてくるのか、不思議に思う。光夜は、自分から誰かのところへ行こうなんて、これまで見せたことはない。いつも、誘われて、不備がなければついていくだけ。そんな光夜が、こんな早朝の早くから尋ねてきた。
 「上がっていいか」
 「・・・いいけど、学校は?もう七時半だけど」
 「今日は遅延登校日だ。十時ごろに登校しても、問題はねぇよ」
 ふとカレンダーを見る。ああ、そうか、今日は月に一度の遅延登校日の日だった。この日は、授業はなく、かといって休みでもない。部活動を行う日なのだ。人間の個性と感性を育てるため、僕たちの学校は沢山の運動部及び文化部が作られている。そして、それらを無駄にしないために、生徒は必ず何かの部活に入らないといけない決まりがある。
 更には、それだけ沢山の生徒が部活に入っているのなら、月に一度くらいは部活に専念できる日を設けようと言うありがた迷惑極まりない登校日が存在していた。
 この日は、運動部や文化部のわけ隔てなく、登校時間が遅くても構わないそうだ。理由は、僕もよくわからない。
 「そうだね、じゃあ着替えるから待ってて」
 「ああ」
 僕は扉を閉めて光夜を出迎える準備をする。洗顔や歯磨き、髪を梳いて服を着替え―――――あれ、光夜って何の用なんだろう?ま、いいか。僕はとりあえず出来ることを端からしていって光夜を出迎える準備を済ませた。そして光夜を迎え入れたけれど・・・・なんで、少し怒ってるの?

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Novel Editor by BS CGI Rental
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