結局のところ、結論は簡単に出てしまった。よくよく考えれば、僕が無理強いしているかなんて、光夜自信の感じ方の問題だ。それを僕ひとりが考えたところで答えなど出るはずもなく、一人で無駄な時間を過ごしてしまった結果になった。  「要は、光夜に聞けばいいんだよね」  そんな単純なことを僕はいつまでも考えてしまっていた。やっぱり何かがずれていたようだ。友達という今までに体験したことのない状況を大家淫して、少し調子が狂ったのかもしれない。でも、嫌ではない、むしろ新鮮な気持ちになっている僕がいる。うん、こういう不安定なのもいいのかもしれない。  「だいぶ遅れちゃった。光夜、怒ってるかな?」  光夜のことだから何も言わずにサボるということはないと思う。あれでも律儀というか、結構几帳面で、周りが暴力的なイメージしかないから想像できないだろうけれど、光夜はとってもまじめである。だから無断でどこかへ行くこともないから、僕も心配が少なくて安心する。逆に、僕が光夜を困らせているような感があるのが否めないけれど。  困らせるのは、よくないよね。  部屋にはやっぱり光夜が先に来ていた。  「遅かったな、何してた」  「特には何も、あえて言うなら考え事かな。結論として一人で考えても無意味だったからやめてきた」  そうか、と光夜はそれだけ言っていつものように黙ってしまう。それだけ見れば普段どおりの光景なんだろう。でも、なぜか忙しなく指がリズムを刻んでいた。何かあるのだろうか?  「光夜、何かあったの、落ち着かないみたいだけど?」  「さっき、朝の女が来た」  「朝のって、横山さん?でも姿は見えないよ」  「ああ、さっき帰ったからな」  帰ったって、彼女は依頼を持ってきていたはずなのに何も聞かずに帰るなんて事はないんじゃないだろうか。それとも―――――  「光夜、依頼を断ったの?」  「いや、そんな事はしていない。ただ、お前が来るのが遅かったから、勝手に受けた」  「受けたって・・・何を?」  「依頼に決まっている」  光夜は何の脚色もつけず、自分のしたことを当たり前のように口にしていた。おかげでちょっと理解するのに時間が掛かってしまったしまった。  ってちょっと待って――――― 	「―――――光夜が依頼をっ!?」  ありえない、あの面倒臭がりで厄介ごとになんて関わらない光夜が無関係な人間の頼み事を受けるなんて。熱でもあるのかな?  「な、なんでまた、光夜。悪いものでも食べたの?」  「俺は犬か・・・・」  呆れたように頭を抑える姿は明らかにだるそうだった。あ、自分で受けて後悔しているね、あれは。  「もしかして、無理して受けたの?」  「それはない。それよりも、まずかったのか、勝手に受けて」  「えっ?あ、いやまさか、人が困っているなら助けたいよ。僕も受ける方向でまとめていたし。 	でも光夜に聞かないで僕が勝手に決めるのもおかしいって、さっきから考えてて、光夜にも意見を聞こうと思っていたんだ」  「そうか、なら意見を聞かれる前に受けちまって悪かったな」  いや、悪いなんて事はない、むしろ話しが早くていいんだけど、それでもやっぱりおかしい。光夜が人の頼み事を受けるなんて、天変地異が起きるのかもしれない。  「でも、なんで光夜がそんな事をしたんだい、いつもなら僕が来るまで待たせているはずなのに」  「あの女の口が軽かった所為だろ、他に理由もない。・・・・・情が移ったなんていえるか、馬鹿」  「え?最後のほうが聞き取れなかったんだけど」  「聞くな、なんでもない。で、受けてよかったのか?」  光夜はしつこく聞いてくる。あ、そうか、僕がここの責任者だった、僕の言葉がないと光夜はいつまで経っても次に話が持っていけないんだ。  「よかったよもちろん。それじゃあ今日から、なるべく早く―――――あ、期限とかは決めていないんだよね?」  光夜は軽く頷いた。  「わかった、今日からなるべく早く、横山 咲さんの依頼を遂行しよう。内容は、横山さんのお父さんの遺灰探しと窃盗犯探し」  「どっちか一つ言えば、二つ目はいらないだろう」  あ、そっか、でも必要だよ。  「まあ、いい。で、当てはあるんだろうな、何も無しからの出だしだと、何も出来ないだろう」  「何もないよ?だって外の盗みに僕らは気づけないもの、ということで早速行こうか」  「あ?行くって、どこに・・・・」  「現場検証に決まってるでしょ」 
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