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奇妙戦歴〜文化祭〜 作者:光夜

第4回   第一週1
 文化祭二週間前、前日の孝太の活躍(?)の報告により教室はにわかに活気に満ちていた。「それじゃあ今日の授業だが・・・・」そんな中マイペースに今日の予定を話す担任、現在ホームルーム中である、一時間目がこの担任の授業なのでいそいそと教科書を用意する生徒がいた。
 「やべ、ノートが無い」
 ステージを獲得したヒーロー、孝太である。机の中をゴソゴソと荒らしながら肝心のノートが見当たらないとあたふたしている。
 「大丈夫孝太、今日宿題の提出だよ」
 「いや、別に宿題なんかやっていないからいいんだが、俺としては別なノートで代用するのが嫌いなんだよ」
 「・・・・・」
 その様子を呆れ顔で見る唯、宿題をやらないやつがそんなこと言うな、という顔だ。
 「どうした唯、俺の顔に何か付いているのか?」
 「ううん、別に」
 孝太はハテナという顔で首をかしげた。と、そのとき担任教師がゴホンと咳き込んだ、それに気づいて二人はしゃきっと背を正す。
 「うむ、おまえが一番前に来てくれたからな、よく監視ができる」
 目の前にいる孝太に意地悪な笑みを見せる教師、はははと笑って誤魔化すは孝太だった。
 「誰だよこの配置にしたのは、文句言ってやる」
 「おまえだよ孝太、自由席替えと聞いて真っ先にそこについたのは」
 聞いていたのか三つ隣にいるシンが孝太に鋭いツッコミを入れた。
 「・・・・・」
 孝太撃沈、そう言えばそうだったと頭をおさえた、まあ話を戻して担任に目を向けよう。
 「今日は土曜日だ、幸いこのクラスに単位が不足している者がいないということで他の教科の先生に話を合わせてやったぞ」
 担任はえらく遠回しな事を言う、教室がざわつく。
 「つまり、今日の授業は免除、文化祭の準備に励みなさい」
 しばしの沈黙、数秒後には教室はやっただの儲けただのと言う歓喜の声が響いた。
 「はあ、準備か、面倒くさいからパス」
 サボる事をあからさまに表現した孝太、それを聞いた右二人が立ち上がる。
 「駄目、孝太は一様メインイベントの主役の一人なんだから」
 「そうだよ、ちゃんと出なきゃ、サボったら罰当番だよ」
 「げっ!まじかよ」
 罰当番と聞いて孝太の顔が引きつった。
 チラッと、孝太はシンのほうに目を向けた。
 「(葵は一度言ったらそれを行使する娘だからな、諦めろ)」
 「(へいへい)」
 アイコンタクトでシンは孝太を説得した。孝太は目の前に居る唯に向き直る。
 「わかったよ、やりゃあいいんだろ」
 「そういう事、じゃあどうしようか具体的に」
 そのとき待っていましたと、前に出たのは司会の二人だった。
 「では、時間を有効に使うために班分けをします、まず、チャンバラですが―――――」
 「主役の二人が斑鳩と孝太なので『仲良しチーム』とローゼン君にお願いします、喫茶店はそれ以外の全員で行います」
 教室が賛成を挙げる中シンが立ち上がった。
 「ちょっと待った」
 「なんだい斑鳩君?」
 「なぜローゼンまで入っているんだ?」
 「キミ達が顔見知りだから」
 なんと言ういい加減な理由だろうか、いや、確かに知り合いのほうに混ぜた方がいいのはシンも判ってはいる、だがそれがローゼンとなると・・・・チラッとローゼンの方を横目で見た、笑っている。
 「(よろしくお願いします、また貴方達が暴れないように見張りますので)」
 「(ほう、暴れた所でおまえは止めに入るのか?)」
 「(まさか、ただの口実ですよ)」
 そうかよ、と言い捨ててシンは席に着いた。
 「それじゃあ、分担も決まったし、始めようか」
 司会の言葉と同時に文化祭の準備が始まった。



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Novel Editor by BS CGI Rental
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