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奇妙戦歴〜文化祭〜 作者:光夜

第26回   第三週2
 深夜明日の準備を終えたシンは早々とベッドに入ったのが一時間前の事だった。今は日付も変わっている。葵との帰り道シンは「帰ったら孝太の家に電話してみるよ」そう提案した。葵も唯に電話するといってその場は分かれた。午後十一時ごろシンは孝太の家に連絡をしてみた。藤原です。ただいま留守にしていますので発信音の後に連絡を入れてください。お決まりの留守録が帰ってきただけだった。しばらく時間を置いてからもう一度かけたが、同じ声が返ってきた。おかしいとも思ったが余計な気を回すのも孝太に失礼とシンは就寝した。だが未だに寝付けないでいた。
 「(眠れない、孝太の奴何処に言ったんだ)」
 一応二回目の応答には帰ったら連絡をくれとメッセージは入れておいたから多分返事がある端だった。だがあれから一時間電話がなる気配は無い。
 「くそ」
 ベッドから起き上がり電話の置いてある一回へと降りた。電話の前へ来た時少し間を置いてから受話器へと手を伸ばした。そのときけたたましく電話がなった。驚きは短かった、シンはすぐに受話器を取った。
 「斑鳩です」
 もしかしたらと思ったが以外にも声の主は女性だった。
 「葵か、どうしたんだこんな時間に」
 『もしもし、シン君。さっきね唯の家に電話したの』そうかとシンは言った。「それでどうだった」
 『それが・・・まだ帰ってないって。三十分ぐらい前にも電話したの、でもまだ帰ってないって』
 葵は声を荒立てて話し続けた。
 「判った、落ち着け葵。水野もか」
 『唯もって、まさか孝太も』
 「そうなんだ、あいつの事だからそこらへんをぶらついているのかもしれないけど水野まで帰っていないって言うのはおかしいな」
 『やっぱりまだ学校に』
 葵がシンと同じ考えを口にした。
 「かもしれない、俺は今から学校に行ってくる」
 そう告げて受話器を置こうとした時葵の声が聞こえたのでもう一度耳に当てた。
 『私も行く、二人とも心配だよ』
 少し考えた後。
 「解ったじゃあ商店街の出口で」
 そう言って今度こそ受話器を切った。急いで私服に着替え玄関を飛び出した。
 「お待たせ」
 商店街の出口付近、分かれ道の所で予定通り葵と合流した。「両親には断わりは」
 「大丈夫言ってきた、すぐ帰ってくるから、あと」
 「あと?」
 「シン君も一緒だから」
 恥ずかしがりながら葵はそう言った。なんと言ったらいいのかシンにも判らずそうかと言っておいた。
 「そ、そうか、じゃあ急ごう」
 「うん」
 二人は照れながらも学校へと走った。
 「つ、着いた」呼吸を荒げてシンは校門の前に立った。その隣で葵も呼吸を整えている最中だった。
 「でも、本当に二人ともいるのかな」
 「判らない、でも孝太が水野と一緒かもしれないと言うのは事実だと思う。少なくとも何かしらのトラブルを抱えるのは孝太だからな」
 「だよね、だとすると唯は巻き込まれたのかな」
 「考えられる、水野は孝太の何かに巻き込まれて。と言うよりも原因の大体は孝太が起す」
 だんだん孝太が悪者のようになってきた口ぶりの二人。
 「まさか孝太、唯に無理を言って困らせてるんじゃあ」
 シンは昼間葵が言った唯は孝太に逆らえない所がある、を思い出した。
 「だとすると、やはり原因は孝太か。一体何をしているんだ」
 校門を見ながら更に話は続く。
 「孝太が唯に頼み事をするとしたら相当人には言えないような自分のプライドに関わる事だよ」
 「だよな、人に言えない事か。人の少ない場所、暗い場所・・・・・」
 まさかとシンは最悪のケースを予想した。葵もシンの口ぶりから何かを察知したようだ。
 「もしかすると孝太、唯を・・・・」
 二人は顔を見合わせると声が重なった。
 『拉致・監禁』
 二人とも顔が強張ってきた。
 「孝太、早まるなあああ!」
 シンが校門の内側に手を伸ばして鍵をずらした。
 「唯、待ってて、すぐに助けるから!」
 葵も校門が開くと同時に中へ走った。そして学校の探索を開始した。
 それにしてもこの二人、ニュースの見すぎだろう。



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Novel Editor by BS CGI Rental
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