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友達のいない僕たち 作者:

最終回   人間は優しい生き物
「。。。じゃあ僕が友達になってあげようか?」
今度は男の子が言いいました。
「うん。。。。」
と、♂リスは下を向いたまま返事をしました。
「僕は、たかしって言うんだ。キミは?」
「クロって言うんだ。しっぽのところに何故か少し黒い部分があるからさ」
こうやって2人は友達になりました。
毎日2人は森で待ち合わせをして、クロのお気に入りの場所を
教えてあげたり、川で水浴びをしたり、美味しい実を集めたり。
2人は毎日を楽しく過ごしました。

ですが、森の奥では密かに会議が行われていました。
「やっぱり。。。どう?」
「どうって変わらない!クロは馬鹿な奴だよ。きっと殺されるに
決まっているのに!」
また動物達です。すると、森を守る魔法使いが現れました。
「あの子達はもう決して別れる事はないでしょう。あなた達は
見守ってあげるのです。」
魔法使いがそう言うと、動物達は顔を合わせました。
「魔法使い様!だって人間って怖い生き物だってお母さんが
言っていたんだよ!絶対に近付くな!殺される!って!」
「私のママなんか人間に殺されて、食われてしまったもの。。。」
「俺だってそうさ!だから見守るなんて。。。。」
口々に動物達はそう言いました。
「でもね、全ての人間が怖いわけじゃないのよ。ちゃんと
見守ってあげるの。わかったわね?」
魔法使いはそう言って消えてしまいました。
「。。。。。魔法使い様の言う事は正しいよ。。。。でも。。。」
みんな、悩み込んでしまいました。
「。。。。やっぱり、見守るんじゃなくて、自分達も友達になれば
殺される事もないんじゃない?」
1匹のうさぎが言いました。
「そうだ!でも裏切らないよね。。。?」
「きっと大丈夫だよ。。。!」
動物達は友達になる事を決めました。

今日もたかしとクロは森の入り口で待ち合わせをしています。
クロはいつものように、たかしの来る何分も前から、
入り口で待っています。
けれど、いつまでもたかしは来ませんでした。
クロはずっとずっと待ちました。ですがたかしは現れません。
「もしかしたら、もう先に川にいるかもしれない」
クロはすぐに川へ走りました。ですがたかしはいませんでした。
「もしかしたら、あのお花畑にいるかもしれない」
またクロはお花畑まで走って行きました。ですが
たかしの姿はありませんでした。
「もしかしたら、最初に会った木の下にいるかもしれない」
クロはまた走って走って、初めて会った木の下に行きました。
そこにはどっさりとあるクロの大好物の木の実と、
手紙がありました。その手紙には「親友のクロへ」
と書いてありました。クロはきっとたかしだ。そう思い
急いで大きい封筒から便箋を出して、手紙を読みました。

「親友クロへ、最初クロに会ってからまだ1週間しか経ってない
けど、十分僕たちは友達になれたね。でも、僕引っ越ししなきゃ
行けなくなっちゃったんだ。クロと離れるのは泣くほど寂しい
けど、この楽しい1週間をくれたのはクロだよ。クロに元気を
いっぱいもらったから、僕は新しい街で友達を作れそうな
気がするんだ。これは全部クロのおかげだよ。離れたって
僕の事を忘れないでね。僕も忘れないからさ。親友のたかしより」

震えた手で、手紙を持ち、クロは止まってしまいました。
そこにさっきの動物達がやって来ました。
「おーい!クロ!俺達ともまた友達になろうぜ〜!」
「絶交なんて悲しい事はやめましょう〜!」
奥からみんな走って来ました。でもクロの返事はありません。
「。。。クロ?」
動物達はクロの持っている手紙を読むと、みんな静まりました。
「。。。クロ。。。」
ガールフレンドのリスのクミがクロを抱き締めると、
クロはすぐに泣いてしまいました。
ほかの動物達も泣き出してしまう者達もいました。
優しい動物達はクロが泣き止むまで、ずっと一緒にいてあげました。
クロの心から、「たかし」という人間との思いでは決して
忘れられる事はありません。

その後はクロはクミと結ばれて、幸せな日々を過ごしています。
森の動物達の人間の見る目は変わりました。
人間は優しい生き物なんだ、そう口々に言うようになりました。
                             終わり

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Novel Editor by BS CGI Rental
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