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天国も地獄と同じ場所 作者:

第1回   死後の世界は病室
「何で。。。騙した。。。のか?」1人の男の声が聞こえる。「ええ、だってアナタつまらないんだもの」男の心は今にも崩れそうなのに、女は構わず冷たい言葉を吐く。「そうか。。。騙されたのか。。。。馬鹿だな。。俺って。。」「そうよ、もともと最初から別れるつもりだったし」女のほうのこの嫌な態度に男は怒りを抑えきれず、キッチンのほうから包丁を出すと女に思いきり突き刺した。女はいきなりだったので身構えもできずそのまま腹を刺されて倒れた。「こん。。な事。。したって。。。意味なん。。。。か。。無いのに。。。」何故か笑っている女の顔を男は何回も刺した。勿論女は死んだ。少し経つと男は我に返った。そして泣叫んだ、自分は何故こんな事をしてしまったのだろう、と。
男の泣き声が遠ざかり、女は気付くと病室のような不思議な場所に来ていた。ナース服のような物を着た、可愛らしい女性が女に近付く。「あの。。名前教えてもらっていいですか?」と恥ずかしそうに聞いてくる。女はこの状況を理解できなかったが「はい、桜井愛実(さくらい まなみ)ですけど。。。」と愛実が言うとナース服のような物を来た女性はカルテのような物に忙しく何かを書き込んでいる。「あ!桜井愛実さんでしたか!どうぞこの奥へ!」愛実は言われたまま奥の診察室のような場所へ行く。中には美しい女性が「いらっしゃい」と笑顔を浮かべてイスに座っていた。

「あの、ここは」愛実が言いかけた途端、白衣を着た美しい女性は話し始めた。「私、マドカ。よろしくね。あなたの話しは聞いているわ。彼氏に刺し殺されたんでしょ?」いきなりの自己紹介と愛実の死因について語るマドカに愛実は驚いたと同時に何かを察したような気がした。「ここは。。天国?それとも地獄?」少し震えた声で愛実は言うが緊張感のないマドカは「私達、初めてなんだから!ほら!あいさつ!」などと言っている。だが愛実はそう言えば、という感じであいさつを始める。「あっ!ごめんなさい。初めまして、マドカさんですよね?あの、ここは。。。」段々震えて行くその声にマドカはため息を1つして答えた。「そんな心配する事じゃないの。愛実ちゃん、あなたはこれから試験を受けなくてはいけないの。最も殺された理由でまず審査されるわ。」「殺された。。。理由。。?」やはり震えた声で愛実はマドカに問い続ける。「そう、殺された理由。それが悪ければ悪いほど、天国には行けなくなるの。だって悪い理由で殺されたって、自業自得でしょ?」愛実の気もしれないで、軽々と答える。「じゃあ「良い理由」って何ですか。。。?」愛実のその質問に、マドカは少し考える。「。。。自殺は勿論地獄行き、誰かをかばって死んだのなら天国行き、でも殺されたのなら。。。。良い理由なんて無いわね。。。考えた事もなかった」やっとこの場に適した表情になってきたマドカ。でも愛実の表情はもっと悪い。

「マドカさんは何でこんなに軽々しくと告げられるんですか?これから私は地獄に行くかもしれないのに。。。」またも質問にマドカもそろそろ飽きてくる。「さっきから質問攻めだけど、そろそろ本題に入っていいかしら?あのね、審査のランクはsランク〜Eランクまであるの。Sランクなんて言うのは、もう殺された理由が明らかに一方的な物や、理由なく殺された人がそうなるわね。Eランクは明らかに殺されても仕方ない理由なんだけど、ちょっと微妙なのよね。。。」マドカの態度にイラつく愛実だが、マドカの話しをちゃんと聞いている。「ほんのちょっとの事でDランクやCランクとかになるのよね。まあその「ちょっとの事」って言うのは教えられないんだけど。そして合格ランクはSランク〜Cランク!この4つのランクに入らなければあなたは地獄に行く事になるわ!地獄の事も教えられないけど、とにかく地獄な日々を送る事になる。でも大丈夫!あなたならきっと大丈夫よ!審査はただ少し質問をされるだけ。でも嘘はつかないでね?嘘をついたらまぎれもなく地獄行きよ。正しい事を答えるだけでいいの。さあ行ってらっしゃい!!」マドカがそう言うと審査部屋と看板がでているドアが出てきた。愛実は驚きと不安が込み上げてきた。心臓の音が聞こえてくる。おそるおそるドアに手を差し伸べてドアを開けた。後ろからは「行ってらっしゃ〜い!!」というマドカの声が聞こえた。

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Novel Editor by BS CGI Rental
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