中学2年生の松下 翔(まつした しょう)は、友達関係などの事で、 嫌になり、中1の2学期の頃から不登校の日々を送っていた。 始めは「学校行きなさい!!」とうるさく言っていた親も、 最近は諦めてうるさく言わなくなった。 それどころか、もう不登校が当たり前になっている。
そんなつまらない生活を送っている翔は、いつもパソコンに 向かっていた。だが、くだらないサイトばかりで、翔の気に入る サイトなどなかった。家ではいつもベッドに寝転んでいる事が 多くなった。いつしか、何を見ても、「楽しい」というふうには 感じなかった。
今日も不登校の翔、 久々に翔はインターネットという世界の中を駆け回っていた。 色んなサイトがあったが、やはり気になるところなんてなかった。 もうやめようか、そう思った時、1つのサイトが目に入った。 「悩み相談掲示板」という題名の掲示板だ。 この系統の掲示板は多くあるが、少し違った部分があるのだった。 普通なら、管理人がこの掲示板を作って、訪問者の悩みを聞いて、 それを議題に皆で相談したり、アドバイスしたりするのが普通だった。 だが、この悩み相談掲示板は管理人が、悩みを訪問者に相談していた。 訪問者は少なかった。1日20人くらいしか見にこないところだった。 その中でも、管理人の力になろうと思った人が数人、 管理人にアドバイスしたり、質問している。 些細な事から驚く事まで。全て書き込まれていた。 その度に訪問者は答えていた。 相談の中に翔は驚くものがあった。 「今日も私は不登校の日々を送っています。人間関係とは とても難しい物です。もっと良い人と巡り会えばよかった。」 という管理人の書き込みがあった。 まったく翔と同じ理由で不登校になっていた。 始めはネタだと思ったが、それがもし本当なら、そう思い、 翔はこの掲示板に書き込んだ。 「初めまして。俺もそうです。信じてもらえないかもしれないけど まったく同じ理由で不登校です。管理人さんの気持ちはよく わかります。もう学校なんて行きたくありません」 そう書き込みを残して、翔は返事を待った。
夜9時頃、またパソコンを起動させて悩み相談掲示板を覗いた。 何故か、期待している翔。掲示板を見ると、早速書き込まれていた。 「ショーさんもそうなんですか、人間関係の事について誰か アドバイスくれませんか?」 という管理人のレスと、 「人間関係かあ。。確かに難しいね。私もいっぱい苦労しました」 というレスが来ていた。翔はカナカナで「ショー」という名前で 書き込んでいた。そして、翔が期待するレスはなかった。
2時間後の11時にまたパソコンを起動させた。たった2時間じゃ すぐにレスがくるなんて事、そんなにないけど、翔はやはり どこかに期待していた気持ちがあった。 そして、掲示板を見てみるとレスが1つあった。 それは、「アキ」という前からここで書き込んでいた訪問者の 1人で、ちゃんとしたアドバイスが書き込んであった。 「ショーさん初めまして。早速ですが、アドバイスです。 自分から向かわなくちゃ友達はできないし、 人間関係も上手く行かないと思うなあ。管理人さんやショーさんは どこか抑えている部分があるんじゃないかな? 我慢している事が多いんじゃないかな? 我慢する時は必要な時だけでいいんだよ。無理に我慢したって、 自分にどんどん不満を持つだけで、不登校とかになっちゃうでしょ? 自分に自信を持てばいいんだよ。自信満々の輝いている自分 のほうがいいと思う。これが私のアドバイスです」 この書き込みに少し影響を受けた。確かに「アキ」の言っている事 は正しかった。翔は徐々に自分に自信がなくなり、 人間関係の事でも我慢する事が多かったのだ。 次第に自分がこんなに言いたい事を我慢している事に不満を 持つようになっってしまったのだった。
そして翔はすぐに返事を出した。 「アキさん、アドバイスありがとう。確かに当たっています。 俺、そうだったかもしれません。ということは、不登校になる のは俺の場合、自業自得という事になるのかな?」 返事を出して、また明日にする事にした。
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