僕が空き地に行った時はもう手遅れだった。 古びた木材が幾つも重なって出来ている遊具の1つにはロープが掛けられていて、そのロープは正信の顔を血抜きしていた。 周りには慌てふためく、健二と章、それにパシリの慎太郎。 僕たちは、正信の死体を近くの空き地に埋めた。 正信の白くなった顔に土を被せ、ひたすら隠していく。 健二たちは隠し終わったと安心して帰ったが、僕は家に帰った後も恐怖心の塊で、押されるようにまた隠した場所に舞い戻り、穴を掘り返し、また更に穴を深く掘って、餞にと用意したユリの球根と共に正信を再び土に返した。
あれから僕たちも大人になった。 埋めた場所は今もまだ空き地のままでいて、共犯のみんなは地元から逃げるように遠くへ行った者もいれば、僕のように地元に残り、たまに様子を見に行っている奴もいる。 そういえば、先月妻に食わせたユリ根は、実はこのあたりに生息しているものを取ってきたものだ。 「珍しいこともあるのね。」 妻はそう言って、僕の手料理を平らげてくれた。 そうしてしばらくして、僕は旧友の最後の言葉を聞く事が出来た。 正信はこう言った。 「なんで・・・わたしが・・・」 妻の口を借りてではあるが。
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