『普通の人』
目の前に皆が昇るらせん階段があり
行列を成しながら順番に昇っていく
僕はそれを見て、せせら笑いながら
手持ちのロープを使ってまっすぐに上を目指した
行列を成す人を尻目にすいすい上へとひとっ飛び
でも、無理がたたったのかロープが弱ってちぎれそうだった
このままでは上へ昇れないし、それどころか階下へ転落だ
せせら笑った挙句がこのザマなんて情けない
かといってこのままでいることもできないので
ロープが切れないように祈りながら下の階へと降りた
階段の踊り場に着いたものの僕は途方にくれた
階段は順番待ちで、列に割り込むことはできない
でも、そんな僕に手を差し伸べてくれる人がいた
今から階段を昇り始めてもいいらしい
引かれるままに列にまぜてもらった
僕はバカだ
普通になれないのに特別になろうと思っていたなんて
皆の特別になんてなれないだろうけど
せめてあなたの特別でありたい
そして僕は普通を目指して階段の一段を踏みしめた
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