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ねぶの詩集2 作者:ねぶ

第41回   『普通の人』
『普通の人』

目の前に皆が昇るらせん階段があり

行列を成しながら順番に昇っていく

僕はそれを見て、せせら笑いながら

手持ちのロープを使ってまっすぐに上を目指した

行列を成す人を尻目にすいすい上へとひとっ飛び



でも、無理がたたったのかロープが弱ってちぎれそうだった

このままでは上へ昇れないし、それどころか階下へ転落だ

せせら笑った挙句がこのザマなんて情けない

かといってこのままでいることもできないので

ロープが切れないように祈りながら下の階へと降りた



階段の踊り場に着いたものの僕は途方にくれた

階段は順番待ちで、列に割り込むことはできない

でも、そんな僕に手を差し伸べてくれる人がいた

今から階段を昇り始めてもいいらしい

引かれるままに列にまぜてもらった



僕はバカだ

普通になれないのに特別になろうと思っていたなんて

皆の特別になんてなれないだろうけど

せめてあなたの特別でありたい

そして僕は普通を目指して階段の一段を踏みしめた

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