『引き金』
銃を握るこの手に汗がにじむ
僕は未だに引き金を引けないでいる
目の前の的を撃ち外すのが怖かった
あの的の後ろにしか僕の明日はないのに
射撃の下手さを自覚することに怯えている
たとえ的を撃ち損じてしまっても
周りの人は誰も嘲わないだろう
現状を自覚することは明日への一歩
でも、僕自身は嘲ってしまいそうなんだ
自分が自分に嘲われることが何より怖い
一発で命中させようなんて思い上がり
下手な鉄砲も数打てば当たるのだから
外したって嘲われたって構わない
そんな開き直りこそが必要なんだ
大事なのは引き金を引いた経験
大きな深呼吸を1つして、脇を締めて構えた
不安はない、可笑しくもない、何もない
そして、僕は視線を定めて指先をそっと動かした
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【あとがき】 撃ったことが無いのに当たるかなんてわからない。 というかむしろ当たるわけが無い。 大事なのは現状を踏まえた上の練習なのでしょう。
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