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ねぶの詩集2 作者:ねぶ

第22回   『引き金』

『引き金』

銃を握るこの手に汗がにじむ

僕は未だに引き金を引けないでいる

目の前の的を撃ち外すのが怖かった

あの的の後ろにしか僕の明日はないのに

射撃の下手さを自覚することに怯えている



たとえ的を撃ち損じてしまっても

周りの人は誰も嘲わないだろう

現状を自覚することは明日への一歩

でも、僕自身は嘲ってしまいそうなんだ

自分が自分に嘲われることが何より怖い



一発で命中させようなんて思い上がり

下手な鉄砲も数打てば当たるのだから

外したって嘲われたって構わない

そんな開き直りこそが必要なんだ

大事なのは引き金を引いた経験



大きな深呼吸を1つして、脇を締めて構えた

不安はない、可笑しくもない、何もない

そして、僕は視線を定めて指先をそっと動かした

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【あとがき】
撃ったことが無いのに当たるかなんてわからない。
というかむしろ当たるわけが無い。
大事なのは現状を踏まえた上の練習なのでしょう。

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Novel Editor by BS CGI Rental
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