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ねぶの詩集2 作者:ねぶ

第20回   『サバイバル・クラシック(GI)』
『サバイバル・クラシック(GI)』

ゴールの見えないレースを誰もがみんな必死で走っている

周りの馬に抜かれぬように 少しでも早くゴールできるように

これは生き馬の眼を抜くサバイバル・レースなのか

近頃の馬はスタートから出ムチを入れられている

そんなハイペースじゃゴールまで持たないだろう?

馬の想いなど知らぬように観客ははやしたてる



僕と一緒にスタートした馬たちはどこまで進んだのだろう?

既に同世代の馬群からは遠く離れてしまった

周りにいるのは後からスタートした馬たちのようだ

それでもいい

僕はポツンと1頭で走っているわけじゃないから

ゆっくりでも確かに進んでいると今は思えるから



一息入れて、末脚勝負と背中から声がする

時にはコースを迷うときもあるだろうけれど

僕の背中には共に歩んでいける友がいる

このレースを怖れることなんて何もない

厩舎に帰れば、調教師や厩務員だっている

周りのみんなが笑った顔をただ見たいんだ



頭から被ったメンコは脱ぎ捨ててしまえばいい

僕らを励ます声がスタンドから聞こえてくるよ

信仰という名のブリンカーなんていらない

きっと僕らは前を向いて走っていけるはずだから

もしも馬具を着けるならシャドーロールだけでいい

視線を上げて、ただ目の前の目標を成し遂げよう



GIは中央競馬だけじゃない、地方競馬にも海外競馬にだってある

自分の走る競馬場、レースが見つけだせたならばそれでいい

スタートは同じでもゴールは誰もがみんな違っているのだから

自分だけのGIを掴み取るために誰もがみんな必死で走っている

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Novel Editor by BS CGI Rental
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