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ねぶの詩集2 作者:ねぶ

第2回   『トンネル』
『トンネル』

ずっとずっと前に入ったこのトンネル

いつまで経っても出口が見えないから

僕は進んでいるのか戻っているのかわからなくなった



トンネルを抜ければ入り口の前に戻れるんじゃないか?

いつからかそんなことを思うようになった

でも、そんなことはあるわけがないんだ

トンネルの先に何があるのかわからないけど、

そこは良くも悪くも僕の知らないところに違いない



トンネルを一人で歩くのはとても寂しいんだ

いっそのこと、入り口まで戻ろうかと思ったこともある

でも、引き返すな。引き返せば僕の明日は遠ざかる

それに、後戻りしたってきっと入り口はふさがっている



静かに耳を澄ませば、外壁の向こうに誰かがいるのを感じる

最初はそのことに怯えていたけれど、今は同志に思えた

顔を上げて視線は前に、ゆっくりでいいから足を前に出そう

昨日より今日、今日より明日、僕は確かに進んでいる







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