『トンネル』
ずっとずっと前に入ったこのトンネル
いつまで経っても出口が見えないから
僕は進んでいるのか戻っているのかわからなくなった
トンネルを抜ければ入り口の前に戻れるんじゃないか?
いつからかそんなことを思うようになった
でも、そんなことはあるわけがないんだ
トンネルの先に何があるのかわからないけど、
そこは良くも悪くも僕の知らないところに違いない
トンネルを一人で歩くのはとても寂しいんだ
いっそのこと、入り口まで戻ろうかと思ったこともある
でも、引き返すな。引き返せば僕の明日は遠ざかる
それに、後戻りしたってきっと入り口はふさがっている
静かに耳を澄ませば、外壁の向こうに誰かがいるのを感じる
最初はそのことに怯えていたけれど、今は同志に思えた
顔を上げて視線は前に、ゆっくりでいいから足を前に出そう
昨日より今日、今日より明日、僕は確かに進んでいる
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