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ねぶの詩集2 作者:ねぶ

第16回   『花』
『花』

飢えた獣のような目で僕は花屋を眺めていた

美しい花のいくつかを買ってみたけれど

ズボラな僕はそのうち手入れを怠るようになり

だいたいが美しい花を枯らしてしまうんだ

そのうちに花屋からも足は遠のいていった



花を嫌いになったわけじゃない

花を枯らしてしまうことが怖かったんだよ

生花を諦めた僕は造花を眺めて微笑んでいた

満足じゃない 不満じゃない それでいい

そんな風に思っていた 思い込もうとした



忘れた頃に庭を眺めてみると花が咲いていた

僕が植えようとしたわけじゃないんだ

それでも、花は力強く咲き誇ろうとしていた

せっかく咲いた花を枯らすわけにはいかない

僕は気付けば、こまめに水をやっていた



よくよく見てみれば、僕の足元に妙なひもがついていた

ひもをたどっていけば地面の下まで続いているみたい

行き着く先はどうも庭の花の樹の根っこのようだった

目に見える枝葉で触れ合っていたとしても素敵だけれど

地下茎のようにつながっていられたことがなんだか嬉しい



目の前の鮮やかな花びらがいつか散ったとしても

その樹の新緑だって紅葉だって楽しめると信じていたい

そして季節は巡り、来年には新たな花を咲かせるのだろう



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Novel Editor by BS CGI Rental
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