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ねぶの詩集2 作者:ねぶ

第10回   『火の粉』/『乗り遅れ』
『火の粉』

もしもあなたに火の粉が降りかかってきたなら

きっとあなたはその火の粉を振り払うだろう

誰だってそうする もちろん僕だってそうする

それなのに僕が火の粉を払おうとしたら

冷や水を浴びせかけようとする愚者がいる

彼らにとっては対岸の火事でしかないのだろう

明日は我が身と知らないままに……



火の粉を振り払いながら、僕は街を探索する

この街は大火に見舞われているようだ

逃げ遅れた人々の阿鼻叫喚の声が聞こえる

それにも関わらず、皆気付かない振り

あるいは雨が降るのを神頼みしている

けれども、見上げた空には汚れない空

気付いた僕の周りには再び火が……火が……

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『乗り遅れ』

バス停でバスを見送り続ける

どのバスも僕の向かう行き先じゃない

見送り続けていたら日がくれてしまった

僕の行き先ってなんだったっけ?

バス停の発車案内を見てみれば、

とっくに乗りたかったバスは過ぎ去っていた

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【あとがき】
今月は8日間ほど仙台、新潟に出かけていたもので、
作品の発表間隔が空いてしまいました。
また、年明けから勉強に本腰を入れているので、
ネタを作品にまとめあげる時間や気力がありません。
それはある意味、健全な方向へ向かってきたのかもしれません。
今回の作品はかなりダークな感じに仕上がりましたがw

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