尖閣諸島をめぐって日中間の緊張感が高まっている。日本側は「大人の対応」をして、海保船に衝突した船の船長を中国へ送り返したが、中国側の強硬姿勢に変化はない。この船長は中国では英雄扱いだとも聞く。今回の件で思い出されるのは、数年前に北朝鮮の金正男氏と見られる人物の身柄を確保しながら、何の譲歩も引き出せずに送還した件である。前回は拉致被害者、今回は拘束されていた日本人社員と引きかえに送還することはできなかったのだろうか。 処分保留で船長は釈放された。海上保安庁の現場の方々は違法な人間を逮捕しても、易々と釈放されるのではやりきれないだろう。これはまるで治外法権である。中国はレアアースの輸出制限など経済的圧力もかけているが、経済的互恵関係にある国が一方的に損害を被るとは考えにくい。それどころか世界的な景気低迷に拍車をかけるのではないかと懸念される。 外交や防衛は国の外殻であり、外殻を維持できなければ国家が成り立たない。中国のみならず、韓国やロシアに対しても政府の毅然とした態度を求めたい。
(2010年10月6日東奥日報夕刊掲載)
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