政治家による不適切な発言が後を絶たない。先日も民主党の石井一選対委員長の「鳥取とか島根は日本のチベットみたいなところで、人が住んでいるのか牛が多いのか、人口が少ない」という発言があった。これには3つの問題点がある。第一に、鳥取県や島根県およびチベットへの差別的意図を含んでいる点である。そもそも、チベットに牛は多くなく、多いのはヤクである。 第二は人口が低いことが必ずしもマイナスではない点である。無論、プラスもマイナスもある。2007年度の総務省統計では、島根県の人口は73万人で46番目、鳥取県は60万人で47番目であり、最も多いのは東京都である。東京での大学時代に、私は急行乗車率250%の某私鉄で通学しており、電車への乗車を思うと気が重くなったが、人口の少ない地域ではそんな心配は要らない。 第三に、自らの立場も考慮せずに、軽率な発言をした点である。石井氏に限らないが、自分の発言がどういう影響を与えるかを想像できないのは問題である。眼に映らない市井の人々にまで考えが及ばないのではないか。『覆水盆に返らず』で、一度発した言葉は決して取り消せない。失った人心も容易には取り戻せない。
(2010年3月4日東奥日報夕刊掲載)
|
|