近年は空前の漢字ブームである。クイズ番組では漢字の読み書き問題が多く扱われ、携帯ゲーム機の漢字学習用ソフトは大ヒットした。漢検の受験者数も平成十三年の年間約百八十万人から、平成二十年には約二百九十万人にまで増加した。漢検や英検等の資格保持によって、入学試験で優遇される場合もある。 それ故に漢字に詳しい人が増えていると思いきや、実際はそうでもないようだ。麻生前首相はしばしば漢字を誤読して大きな問題となった。そして先日、多くの中学生が「図る」を「ずる」と読むという記事を目にした私は大きな衝撃を受けた。パソコンなどの普及により、漢字を読めても書けなくなったという話を耳にするが、読みすらできないのでは日常生活にも支障をきたすと思われる。 来年度から小学五、六年生へ英語教育を行なうと文科省は発表しているが、英語教育に注ぐ時間があるなら、国語教育を充実させるべきである。中学から大学まで十年間も英語を学んでも身についている人は多くない。また、日本人にとっての英語は情報伝達手段でしかないが、国語は思考の根幹をなしている。どちらを優先するかは言うまでもなく、漢字の読み書きはその基礎であろう。
東奥日報2010年1月18日夕刊掲載
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