■ トップページ  ■ 目次  ■ 一覧 

最後のプレゼント 作者:愛田雅

最終回   さようなら
あいつのお葬式が来てしまった。
モテモテのあいつ。女の子たちが泣いている。すすり泣く声が、あちらこちらから聞こえてきた。私はと言うと、何故か涙が流れることは無かった。
昨日の夜、たくさん泣いたからかな?

お葬式が終わると、美沙が驚いた顔で私を見ていることに気がついた。

「かおり、よく泣かなかったね。」
「うん。自分でも驚いてるよ。」

ものすごく悲しいけど、もう自分の中ではちゃんとお別れが出来ているんだ。昨日の夜、あいつとの楽しい思い出を振り返ってたから。

その後、美沙と別れて、一人で土手に向かった。

どうして向かったのか・・・あいつに声で伝えたいことがあるから。

近所の土手には、人気の無い場所がある。そこで、私は大きな声であいつに伝えることにした。

「横峯君!ちゃんと聞いてる?手紙、ありがとう!すごく嬉しかったよ!
私も、横峯君のことが好きだったんだー!
私の気持ち、ちゃんと聞いてる?聞いてなかったら、怒るからね!
もう、会えないけど、あっちで私を見守ってて!
私、きっと頑張れるから!
さようならー!!」

体中の力を振り絞って、一気に叫んだ。これだけ大きな声なら、きっとあいつにも届いているはず。
あいつのことだ、こんなことを言わなくても、天国から私たちを見守っていてくれるよね!

← 前の回  ■ 目次

Novel Editor by BS CGI Rental
Novel Collections