あいつのお葬式が来てしまった。 モテモテのあいつ。女の子たちが泣いている。すすり泣く声が、あちらこちらから聞こえてきた。私はと言うと、何故か涙が流れることは無かった。 昨日の夜、たくさん泣いたからかな?
お葬式が終わると、美沙が驚いた顔で私を見ていることに気がついた。
「かおり、よく泣かなかったね。」 「うん。自分でも驚いてるよ。」
ものすごく悲しいけど、もう自分の中ではちゃんとお別れが出来ているんだ。昨日の夜、あいつとの楽しい思い出を振り返ってたから。
その後、美沙と別れて、一人で土手に向かった。
どうして向かったのか・・・あいつに声で伝えたいことがあるから。
近所の土手には、人気の無い場所がある。そこで、私は大きな声であいつに伝えることにした。
「横峯君!ちゃんと聞いてる?手紙、ありがとう!すごく嬉しかったよ! 私も、横峯君のことが好きだったんだー! 私の気持ち、ちゃんと聞いてる?聞いてなかったら、怒るからね! もう、会えないけど、あっちで私を見守ってて! 私、きっと頑張れるから! さようならー!!」
体中の力を振り絞って、一気に叫んだ。これだけ大きな声なら、きっとあいつにも届いているはず。 あいつのことだ、こんなことを言わなくても、天国から私たちを見守っていてくれるよね!
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