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最後のプレゼント 作者:愛田雅

第1回   もうすぐ・・・
明日は、卒業式。中学校生活ももう終わりかぁ。無事に高校受験は終わったけれど、あいつとは違う高校。

明日が終われば、あいつとも・・・

いや!わからないもん!告白したら、もしかしたら、両思いになれるかもしれないじゃない!両思いに・・・なれるかなぁ?ちょっと自信ないかも。

あいつとは、いつも”友達”としてしか会ってなかった。それが、急に告白されて・・・。そんなことしたら、あいつ、どう思うんだろう?私のことを変な風に思っちゃうのかなぁ?

大体、いつもそばにはいたけれど、”恋”の”こ”の字も出てこないような態度だったし。

私だって、最初からあいつのことが好きだったわけじゃない。意識しだしたのは、副生徒会長を頼まれた時だった。

担任の先生に職員室に呼び出された時のこと。

「先生。話ってなんですか?」
「あぁ。横川に、副生徒会長をやってもらいたいと思って。」
「えぇっ!?私が?いや、遠慮しておきますよ。他の人に頼んでみてくださいよ。」
「そうかぁ?そこを何とかやってもらいたいんだよ。なんてったって、横峯からのご指名だからなぁ。」
「横峯君からのご指名?」
「横峯が、生徒会長で、横川が副生徒会長。良いと思うんだけどなぁ。もちろん、もう一人副生徒会長はいるけどさ!」

その時から、あいつのことが気になりだした。もしかして・・・ってね。でも、もしかするようなことなんて、一度もなかったなぁ。

あいつは、いつもしっかりしていて、生徒会長らしい生徒会長だったなって思う。

普段の生活の中でも、他の男子たちと比べたら、しっかりしていたと思う。

「おい!お前らもちゃんと掃除しろよ!」

ほうきで遊んでる他の男子たちを叱ったこともあったなぁ。叱られた男子たちは、それから真面目に掃除してた。みんなから好かれてたあいつ。

バレンタインデーなんて、大変だったみたい。1年生の時から、チョコをたくさんもらっていた。3年生の時は、親友の山科美沙に、心配されちゃったんだ。

「ねぇ、かおりはあげなくていいの?」
「え・・・私は、別に・・・。」
「そんなこと言ってたら、他の女の子に取られちゃうよ。」

そう言われたけれど、結局、あげずに卒業式を迎えてしまう。

「かおり、横峯君に言わなくて良いの?」
「えっ・・・。」
「もう卒業式だよ。明日を逃したら、思いを告げずにお別れしちゃうことになるんだよ。」
「・・・うん・・・。」

卒業式の前日の夜、美沙から電話がかかってきた。明日、告白しようと思っていた矢先のことだ。

「ちゃんと言った方が良いよ。横峯君だって、あんなにもてるのに、彼女がいないんだからさ。チャンスだよ!」
「・・・そうかなぁ・・・。」
「大丈夫だって!きっとうまくいくよ!」

美沙に励まされたら、なんだか元気が沸いてきた!大丈夫な気がしてきた!単純だな、私って!よし!明日は、頑張って告白するぞ!

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Novel Editor by BS CGI Rental
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