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忘れ得ぬ人 作者:愛田雅

第39回   寄り道2
ガチャッ

お!お客さんだ!・・・と思いきや、ドアのところに立っているのは、カナだった。

「あー!カナ!」
「あー!サキじゃん!驚いたじゃないの!」

それは、こっちの言う台詞!と思ったけど、これを言うと、話が終わらないので、それは言わないで置いた。

「カナ、久しぶりじゃない。何か、食べる?」

まりっぺの言葉に、カナは、コートを脱ぎつつ、私の隣の席に座り、すぐにメニューを手にとって見た。が、しかし・・・。

ジローッ

私が注文したミートソースを作っている厨房をまじまじとカナが見た。すると・・・。

「私もサキと同じのにする。」

出ました!人が食べているのを見ると、それが食べたくなる病。と言っても、今回は、まだ食べてないけど。

「そうそう、サキ・・・年下の君とは、その後どうなのさっ!」

突然、カナが、嬉しそうに話し出した。しかも、年下の君って?これは、きっと牧野君のことだ。私が、相談したばっかりに、勘違いされるだなんて・・・。

「どうもこうもないわよ。その年下の彼は、依然として元気がないのよね。無理しないようにとは言ってみたけど、あんまり効果がない見たい。」
「ふむ・・・。私の病院に連れてきたら?」

病院かぁ・・・。それが一番良いのかもしれないけれど、きっと、牧野君は嫌がるだろうなぁ。突然、私が病院を紹介したら、牧野君は驚くに違いない。

「行かないと思うなぁ。」
「そう?精神科とかって、偏見持ってる人もいるから。でも、そんなことを言ってる場合じゃないでしょう?早めに治療するのが一番よ。」
「そう言われてもねぇ・・・。」
「大して重い症状でなくても、来てる人はいるのよ。」
「そうだろうけど・・・。でも、いざ行くとなると、どうかなぁ・・・。」

私は、牧野君を病院へ連れて行く自信がない。ただでさえ、「大丈夫」と言って、それ以上の話をしないのだから。

「なんだか、深刻そうな顔して・・・。」

コトッ

まりっぺが、出来立ての料理を私たちに出した。料理を出されると、二人してすぐに食べ始めた。

「どうかしたの?」

まりっぺが、心配そうに言うと、カナが話し出した。

「サキの後輩のことなんだけど、うちの病院にその人を連れてきたら?って言ってたところよ。」
「カナの病院ってことは、精神科?」
「そう。だけど、きっと、彼は着いてきてはくれないと思うんだ。」
「わかるなぁ。なんか、精神科って言われると、ちょっとねぇ・・・。」

私たちの言葉に、カナはあまり嬉しくない様子。

「そうやって、放って置いて、取り返しのつかないことにならなきゃ良いけど。早めに、治療させた方が、絶対に良いと思うから。」

確かに、カナの言うとおりだと思う。とは言え、本人に行く意志がなければ、仕方がないのでは?

パクパク

ミートソースを二人して食べていて、ふと思った。

「ねぇ、まりっぺは、いつ食事してるの?」
「私?早めに、夕食は済ませてるのよ。昼間は、お姉ちゃんが手伝ってくれるから。帰る前に、夕食を済ませてるから。」

なるほどねぇ。一人で、全部やっているってわけじゃなかったのか。一人でやっていると思っていたから、いつ、どうやって食事してるのか、気になっていたのだった。

「サキも、変な質問するねぇ。」
「変・・・かなぁ?」

カナに突っ込まれた。気になったから、聞いただけだったのに。

「昼間は、お姉さんが手伝ってくれてたんだ。全然、知らなかったよ。」
「これでも、一応、家族経営ってやつだから。お姉ちゃんが手伝ってくれたり、お母さんが手伝ってくれることだってあるしね。」
「で、これからは、サキの弟がそこに加わると。」
「おいおい!」

3人で、話が盛り上がってきた。周りのお客さんはというと、別に気にしていないようだった。黙々と食事をしたり、インターネットをやっていたり。

「そう言えば、弟といえば、事故で友達を無くしたのって、優君だったっけ?」
「ううん。竜の方だよ。」
「そっかぁ。」

カナが、質問してきた。すっかり忘れていたことだった。竜が、親友を亡くしたことを・・・。

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Novel Editor by BS CGI Rental
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