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忘れ得ぬ人 作者:愛田雅

第37回   注意!2
突然、隣の席に座ってきた市原君。どうも、良い印象が沸いてこない。

引き気味の私をよそに、市原君が、私のお弁当を覗き込んできた。ちなみに、私のお弁当は、弟の優が作ってくれた特製弁当。栄養も彩りも抜群!そんな素敵なお弁当をいつも作ってくれるんだから。好きじゃなきゃ、やらないだろうなぁ。

「おっ!うまそうだなぁ。でも、これだけで足りるのか?俺の弁当で好きなのがあったら、取っていいから。」

そう言われても・・・。そんなにたくさん入らないでしょう。私の特製お弁当は、2段重ねだし。男じゃないんだから、そんなに要らないでしょう。

「遠慮しとく。」

と、私が言うと、大沢さんが、もの欲しそうに・・・。

「私、から揚げが好きなんですよ。もらってもいいですか?」
「あぁ、良いよ。どうぞ。」

二人のやり取りを見ていて、牧野君は、今ごろどうしているのかが気になった。私は、いつも市原君を二人で食べていると思っていたから。

「市原君。牧野君は、どうしたの?」
「牧野?一人で、飯食いに行ったみたいだったよ。」

行ったみたいだった・・・そこまでよくは知らないのか。

「いつも、二人で食べてるんでしょう?」
「いや、そうでもないぞ。」

あれ?違うの?想像もしていなかった展開になってきた。それを聞いていた大沢さんも、驚いた表情になっていた。

「私も、市原先輩と牧野君が一緒に食事していると思ってましたよ。そうじゃなかったんですか?」
「あぁ、最近はな。お互いに、食べたいものも違ったりするし、一人の方が、気も楽だしな。」

まぁ、一人の方が気が楽かもしれないけど。女と男って、やっぱり違うんだなぁって、思ってしまった。

それよりも、大沢さんが、食べ終わる前に、私が食べ終えなければ!

って、どうしてか?大沢さんが、先に食べ終われば、きっと、「お先に失礼します」とか言って、私と市原君を二人きりにさせるだろう。

嫌よ、そんな状況、私、苦手だもの。

三人の中で、一番最初に食べ終えて、さっさと自分の席に戻ろう!そう思って、大急ぎで食べた。

「おい、江田。そんなに急いで食べない方が良いぞ。」

市原君に言われたけれど、無視して食べ続け、最初に食べ終えた。食べたら、さっさと弁当箱を片付けて、席を立ち・・・。

「じゃ、お先に〜。」

とだけ言って、自分の席に戻ることにした。その時の二人の表情も見ずに。

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Novel Editor by BS CGI Rental
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