高校三年、春。
無事に進級で来た喜びと、 初めてのライブハウスでのライブに心を踊らせてた。 ライブハウスの人も意外と入り、これからの未来に希望を棄てきれなかった僕ら。 おかげで君の不安なんて、何一つ気付いてやれなかった。 彼氏、失格。 そんな言葉とあの時の君、今思い出しても後悔ばっかりだ。 君はいつも不安気に僕を見ていた…いつもは決して濡らさない瞳を濡らし。 今思えば分かる君の仕草、 あの頃何故気付かなかったのだろうか。 有名になるにつれ写真を撮られる事が増えた。 僕の隣りにはいつも君。 撮られた何枚もの写真の中に、僕と君の姿が一緒に写っていない写真を探す方が難しいだ ろう。 美しく咲き誇る桜の花びらも、季節を考え散り始めた頃。
ついに、気付かれてしまった。
君と仲良く並ぶ僕を、知られてしまったのだ。 君の傍にいる『僕』を君の母親に知られた。
…いや、“僕たちの母親”に。
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