■ トップページ  ■ 目次  ■ 一覧 

七色しゃぼんに夢のせて。 作者:夏麻

第5回   4.真っ白な季節に一輪の花。
 高校二年、冬。
  
 僕らは来年、どうなっているかも知らず幸せに過ごしていた。
 この頃から始めた僕のバンドは良い具合に波に乗り始めていたところだった。
「スノードロップが良いよ!!」
 どんなに寒くても、踏まれても咲き続ける花。君は無性に僕たちのバンド名をその花の名にちなんで欲しがった。
 君の頑張りが効いたのか、バンド名はその通り“スノードロップ”どれだけ喜んだ事か。今となっても忘れはしない。
 メジャーデビューなんて程遠いアマチュアな僕たちでも、君の選んだ花の通り踏まれてもへこんでもけなされても、何度も何度も立ち上がって生きた。
解散の危機も何回も訪れ、相変わらず今も訪れてはいるがあの頃の君のエールとたくさんの言葉のおかげで乗り越えているよ。
「スノードロップは永遠に咲き続けるのだぞ!!」
 今でもそう叫ぶように言う君の姿、目をつぶれば思い出す。
         “snow drop”
 アマチュアバンドでも僕たちの名前は少しずつ知名度を上げた。
一人、また一人。知ってる人が増える度に、僕たちは喜んだ。
 でもそれが…大きな間違いだったって気がついたのは、後悔と共に知る。
有名になんてならなければ…ねぇ。君と離される事なんてなかったのにね。
 どんなに寒くても、踏まれても咲き続けるようにと君がつけた“snow drop”は、今となっても踏まれる時もある。

 だけど、あの頃と何等変わりはなくずっと咲き続けているよ。

← 前の回  次の回 → ■ 目次

Novel Editor by BS CGI Rental
Novel Collections