高校三年、秋。
彼女は…死んだ。
原因は分からない。 僕たちにとって一世一代の計画を練った…それから3日後、君は死んだ。 埋葬される前、どれだけ頼み込んだか分からない程僕は君の顔を見る事を望んだ。 君は…最高の笑顔で眠っていたね。
僕と音楽の話をする時の、いや…それ以上の笑顔だった。 その顔に、計画を知った母親が君を殺したと思っていた…その気持ちが、一気に冷めていった。 こんな笑顔の君。 僕の事考えている君の顔だから。彼女の母が殺した…微塵にもあった気持ちが、君の顔で無くなってしまった。 止めどなく涙を流し続ける母親から何故か僕は、一通の手紙を受け取った。 母親は、何度も何度も何度も…君に謝り続けていたよ。その背中、とても小さく見えた。 『ねぇ。死んでしまうあたしを許してください。』 手紙を開いた僕の瞳に、良く見た可愛らしい文字が飛び込んだ。 『お母さん、許さないってあたしに言ったの。 あんたなんか生まなきゃ良かったって。 だけどあたしは、生まれて良かった。あなたに会えてほんとに良かった。いつか大人に なって一緒に生きる夢、何度も見たけど…大人になるまであなたに会えない人生を歩む ぐらいなら、あたしは死んでしまいたい。 これから先、あなたに触る女の子すべてに嫉妬しながら生きるなんて…そんな醜い事に なるくらいなら、あたしは今のまま、幸せのまま…死ぬね。だけどあなたは生きて。 …ごめん、自分勝手で。 ばいばい。』
彼女は、自殺した。
僕は呆然と君の残した手紙を何十回と読み直していた。 君は死ぬ瞬間、何を思っていたのか…それだけが知りたくてしかたがなかった。
|
|