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探偵少女AI 作者:真樹

最終回   (8)依頼終了
AIとデコボココンビは椅子に座らされ叱られている。
高飛車な高校の男性教師は訳の分らない事でどなりちらして、3人を攻め立てている。
「警察に連絡しましょうか、親に連絡を入れようか」などと、話し始めた。
しかし、女性の教師にとってはそれは都合が悪かった。
3人と洋の姉がそこへ残された。

「あんた達、なんで高校になんか忍び込んできたの?泥棒でもするつもり?」
「まさか!違うって」
姉弟が、そう囁いている。

そうしているうちに、男性の教師が戻り、「高崎さん。弟さん達をちゃんと家へ連れて帰
ってくれよ」と、言い残し3人は解放されることになった。
「なんだか、おかしい」
AIとデコボココンビと洋の姉は、職員室から出ると、姉が振りかって時には3人とも、
どこかへいなくなってしまっていた。
「まったく!あいつら、怒られるのは、わたしなんだからね!」と、廊下で一人くやしが
る姉だった。

3人は、そろそろ暮れかかる廊下を人目を避けて、渡っていく。
反対の廊下にさっきの女性教師と数人の生徒が一緒にあるていた。
「あっ、あの人達はみんなうちの中学の卒業生だよ」と、高崎がAIに言う。
「そうか!不正入試した生徒達の共通点が分ったわ」
AI達は引き上げる事にした。

翌日、探偵研究会の部室に集まった3人。
「あの女性教師と、C組の先生は知り合いで、その生徒達がみんなあの高校の女性教師の
所へ送り込まれているってことなのよ」
「あの学校は、先生を選んで入学できるんだろうか?」
「姉ちゃんは、そんな事言っていなかったけどなぁー」
「じゃー。何が目的なの?」
「中学から高校までの一貫教育?」
「そんな事じゃないよ。それほど、みんな賢いわけでもないし」
「あんたのお姉さんって何か特技は?」
「特技なんてないよ!」
「やっぱり、お金が目当てなんじゃない?」
「家ってそんなに、お金持ちじゃないけど…」
「あんたのお姉さん達に何かの共通点が絶対にあるはずよ!!」

AIとデコボココンビは調査に行き詰っていた。
AIは部室をウロウロ左右に歩き回っている。
高崎は天井を見つめていろいろと考えをめぐらせている。
足立は撮影してきたデジビデオの液晶画面を見ていた。
「あっ、AI先輩!」
「どうしたの?」
「これは、まずい事になって来ましたよ」
足立は、画面の一箇所を拡大していた。
「これは、何かの部室」
「相手が悪すぎます」
「あっ、そ、そうか!そういう事だったんだ」
「あんた達、わたしには何も分らないけど、どういう事だか説明してよ」

デコボココンビの小さい方がまず話はじめた。
「ここを見てください」
液晶画面に顔を近づけ画面を目をこらして見入っている。
そこには、AI達が高校に侵入した時からの画像が再生されている。
「ここです!」と、足立は画面を停止させた。
その時、映った画面を見てAIは悲鳴を上げた。
「キャー!」
画面全体に少女の顔が映し出されている。
デコボココンビは口を揃えて言う。
「心霊写真です」
「どうして、霊なんかが映ってんのよ!」
「だから、相手が悪いって言っているんです」
「手を引きましょう」
「そうは、いかないわよ」
足立が立ち上がり、今度は部室を歩き始めた。
「C組の先生は、この高校の女性教師に霊感の強い生徒を送り込んでいるんじゃないでし
ょうか?」
「なんで?」
「趣味?」
「それって、すごい悪趣味だよね」
「でも、不正は不正でしょう」
「依頼人はC組の春原先輩なのでしょう?その事実だけを伝えたらどうでしょう?」
「でも、そんな話誰が信じるのよ」
「それなら、依頼金をお返ししたらどうですか?」
AIは大きくため息をついた。
「そ、そうね。今回はそうしましょう」

その後、AIは春原綾に調査の報告をした。
春原は調査書を見ながら、ニッコリとした。
「AIちゃん。ありがとう」
その言葉に、AIは意外な思いだった。
「わたし不安だったの。先生に南城高校へ行くようにって言われて、それも、無試験で入
学できるって言われて、どうして、そんな事を言うのだろうって思っていたの。でも、A
Iちゃんの調査でその理由が分ったわ」
春原綾は手を伸ばし、そこにあるノートと鉛筆を浮かばせて見せた。
「先生は、この力を知っていたんだわ」

びっくりするのは、AIとデコボココンビの方だった。
まさか、こんな近くで超能力者を見るだなんて、思ってもいなかったからだ。
「来年、南城高校へ行って、この力をもっと磨くことにするわ」と、微笑んだ。

部室には、AI達だけが残っていた。
YUIから戻された、貯金通帳とキャッシュカードはそのまま春原綾に返し、結局、報酬
は0円となってしまったのだ。
「AI先輩。そんなにがっかりしないでくださいよ」
「そうそう、たった一人の探偵研究会にこうやってふたりの助手が入ったんだしー」
「AIったら、そんなにがっかりしないのよ」と、部室の扉を開くYUIだ。
「YUI!」
「ごめんね。ちょっとの間だったけど、AIと話をするだけでも、駄目って言われていて
それがね。急に許しが出たの」
「それじゃー、やっぱり」と、三人は顔を見合わせた。
「春原さん達は、霊能力者たちだったんだ」
「AI!なんなのそれ!」
「内緒内緒!」

知らないのはYUIただ一人だけだった。
こうして、初仕事の依頼は終了した。
次の依頼はいったいどんな事なのだろうか…。

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Novel Editor by BS CGI Rental
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