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フシギノクニヘタビダトウ 作者:糊塗霧 隙羽

第9回   フシギナシケンハタイヘンダロウ ?
ドアの先には、あるはずのものがなかった。

普通はあると思うものが、その先にはなかったのだ。

床がない。

俺はまっさかさまに落ちていってしまった。

「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?」

と、落ちていっていると、途中で水の中に落ちた。

不思議なことにその水は、空中に浮いている。

まるで、無重力空間の中のように、丸い玉となって浮いているのだ。

よく見ると周りにも無数の玉が浮いている。

「先に進むにはこの中を通るしかないな・・・」

この水の玉は、一列に並んでいて、その先にドアがある。

一見、今までの部屋と比べて一番簡単そうに見えるが、そうではない。

水の玉は一定の距離を保って浮いているからだ。

何だ、その程度かと思ったやつは・・・・馬鹿!!!実際やってみろ!

水の中からジャンプするのは非常に難しい。

陸上の数分の一の能力しか発揮できなくなる。

この距離は、数分の一となった俺の能力では到底行けそうもない距離だった。

さて、どうしたものか。

近くには何も使えそうなものはない。自分の力で行かなければならないという事だ

どうにもできずに困っていると、またあの声が聞こえてきて、こういった。

「ここをクリアするポイントを言います。前に進むのを恐れるな。」

「え?」

「前に進むのを恐れるな。見かけに騙されるな。道は前に在る。」

「以上でーす。ちょっと、言い過ぎたかな・・・?ではがんばって。」

そこで声は途切れた。

「おい、ちょ・・待てよ!どういう意味だ!」

返答はない。

俺はまた少し考え始める。

今回はヒントではなく、「ポイント」と言ってきた。そこが、少し気になる。

今回のは、ほぼ答えに近いってことか?(なぜそんな答えが出たかは気にせず)

前に・・・進む?

といっても前に道はない。

『見かけに騙されるな』

・・・・・・・・

俺は前に進むことにしたきっと見えないだけでそこに道は『在る』そう思ったから

(しかし、もし間違えたらどうなる・・・・?)

(・・・・・いや、考えていても時間の無駄か。進もう。)

そうして一歩を踏み出した。確かにそこには道がある。

そうして、どんどん進んで行き、ついにドアの前にたどり着いた。

「・・・・・やっとついた・・・。」

早速ドアを開けようとしたが、途中で思い直した。

『見掛けに騙されるな』この言葉を思い出したからだ。

よーく、調べてから進むことにした。

・・・・・数分間、あちこち見て、ただのドアだと、判断した。

ゆっくりとドアを開ける。その先は前にも見た白い部屋。クリアだ!

そう思って、先に進もうとするとガン!何かにぶつかった。

まさかこんなトラップがあるとは・・ドアの中にもう一枚透明なドアがあったのだ

顔面を思いっきり打った俺は少し苛つきながらもその先へと進んだ。

もちろん少年がいる。

「やぁ、がんばったね。これでおしまいだよ」

・・・・・・・は?

「え、終わり?うそ?」

「うん、終わり。嘘じゃないよ。」

「全員まだ見つけてないのに!?」

「全員見つけるって誰が言った?」

・・・・・

「さ、戻るよ。」

「・・・・・・・はい。」




こうして、俺はこの試験をクリアした。


つづく。

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Novel Editor by BS CGI Rental
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