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フシギノクニヘタビダトウ 作者:糊塗霧 隙羽

第4回   フシギノクニデタノシモウ
案内人についていって入った世界は、ただ、不思議というしかなかった。

下は、岩の足場。石製のブロックで組んであるしかし、柱などの支えは無い。

浮いているのだ。そのまま足場とつながっている神殿のような石組みの建物。

これも、普通では崩れてしまうような、組み方をしている。でも、びくともしない

「どう?この世界はあちこち不思議でしょ?」

自慢げに、案内人が言う。

「てか、普通じゃありえないぜ!?この足場浮いてるじゃねぇか!」

ビッグさんがやっぱり騒ぐ。

「この世界に、あっちの常識は通用しないわよ。ここではこんなの普通。」

「この足場、隙間だらけだ・・・・大丈夫かな?」

隙間からは川が見える。綺麗な小川だ。

「それにしても、ここは暑いなー」

ビッグさんが言う。

そのとき急に、ビッグさんの足元のブロックががこん!と外れた。

「うわぁあああああ!」

ばしゃーーん!ビッグさんはまっさかさまに川に落ちた。意外と深いようだ

「お望みどおりかしら?」

「んなわけねーだろ!誰が川に落とせっつった!!?」

「あら、涼しくなったでしょ?」

「びしょぬれでむしろ寒いわ!!」

「ぷっ」

「あははははは!」

ここに来て初めてマチが笑った。っというより、2年ぶりだが。

「あ、麻智さんが笑った!はじめてみたし!」

「ごっ・・ごめんなさい!」

「謝らなくていいってば。ほらもっと笑いなよ〜?」

「ぶっ!ちょっやめっ・・・・冷た!」

俺は、なんか、ここに来てよかったかも。マチもすごく楽しそうだし。

とか思っちゃってたりした。

最初はビッグさんが来たせいでマチは死にそうだったが、今ではビッグさんのおかげ

でマチは笑っている。何だか複雑な気分だ。

「こっちにも行ってみよ。」

マチが調子に乗り始めた。あいつは調子に乗ると勝手な行動を始めるのだ。

どんどん奥に進み始める。

「ちょっと!そっちは・・・」

案内人があわてている。何かあるのだろうか?

「・・・・・・ううっ。」

急にマチがガクッと倒れた。

「マチ!?」

「あーあ、だから言ったのに。そっちからは、普通の人間が行くと・・・」

「死ぬわよ?」

「ど、どうすれば?」

「あ〜・・・・しょうがないわ。あたしが連れてくる。」

案内人がめんどくさそうに歩いていった。

それをさえぎって何者かが、マチの元へと走っていった。

「マチさん!大丈夫!?」

ビッグさんだ。

「今助けるから!」

「ちょっと、さっきの説明聞いてた!?普通の人間が入ると死ぬって・・!」

「この子・・・まさか。」

「えっ?」

「いや、なんでもないわ。助けてあげて。」

・・・・・?なんかいま一瞬、場の空気が変わったような・・・・・?

なんかざわってした・・・・・ような・・・そんな気がした。

てか、なんでビッグさんはあの道に入っていって何もならないの?

普通の人間は入ったら死ぬんじゃ・・・・?












それから数時間。俺たちはいろんな場所を回って疲れていた。

「はい、ツアーはおしまい!どうだった?」

案内の人が聞いてくる。

「すごく楽しかったです。」

「つーか、あたしは疲れたよ。」

「ここに住みたいくらい・・・・たのしかった。」

というと、案内の人はにっこり笑って、

「そう、それはよかったわ。じゃあ、住んでもらえない?」

は・・・?


「はぁあああああああ!?」



つづく

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Novel Editor by BS CGI Rental
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