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| 俺たちは、言われたとおり玄関前から右4上3右30上50の場所を目指していた。 
 実際俺はそこがどこだかわかっていなかった。
 
 マチは違うようだった。何か自信を持って進んでいたから。
 
 「どこ行くんだよ?」
 
 「玄関前から右4歩上3歩右30歩上50歩の場所!」
 
 「ああ、なるほど?」
 
 あれは歩数のことだったのか・・・・。やっぱり流石はマチだ。
 
 つってもそれって近所じゃ・・・・
 
 とりあえず歩いていってみる。
 
 ひたすらひたすら。
 
 そんなときに、
 
 
 
 「おーい!なにやってんのー?」
 
 誰かが声をかけてきた。
 
 「ゲッ、ビッグさん・・・・。」
 
 声の主はビッグさんだった。ちなみにビッグさんはあだ名。
 
 本名は、星倉 喜代美(ホシクラキヨミ)身長が199cmだからそういうあだ名だ。
 
 「ちょっと、ゲって何だよーゲって。」
 
 「いや、別に・・・。」
 
 「あ、麻智さんもいる。」
 
 「こんにちは・・・・・・・すいません。」
 
 「なっ、なんで謝るのー?」
 
 これはマチのくせ・・・というか性格。俺と二人だけなら普通なんだが、
 
 他人の前ではほとんど喋らない、大人しい女に豹変する。てか、謝りだす。
 
 「すいません、ごめんなさい。生きててごめんなさい。」
 
 「えっ、ちょ・・麻智さん?そんな言わないで・・・」
 
 こんな感じにとても、暗い。
 
 こんな感じだから、クラスでは、いじめの的となっている。
 
 まぁ、ビッグさんはいじめたりしないけど、反射的に、くせが出るようだ。
 
 「で、何やってんの?なんか落とした?」
 
 「いや、実はな・・・・かくかくしかじか。」
 
 「それで、不思議の国とやら探し?きゃははは!ありえねー!」
 
 「すいません、馬鹿で・・・・。」
 
 「え、なんでマチさんが?」
 
 「(; ̄Д ̄)言い出したのマチなんだよ。」
 
 「え!・・・・・・ごめんよ。悪かった。」
 
 「いえ、すいません。私が生きてるばっかりに・・・・」
 
 ああ、話が進まない。
 
 仕方がないので俺は無理矢理進めることにした。
 
 「そういうわけで、俺らは不思議の国探すから!じゃあな、ばいばーい!」
 
 と、ビッグさんを追い返そうと大声で言って話をさえぎると、
 
 「なにいってんのさ?あたしも探すよ!」
 
 はぁ?
 
 「あたしいたほうが心強いだろ?」
 
 胃が痛くなるわ。
 
 「よし決定だな!」
 
 勝手に決めるな。
 
 でも逆らうと暴れるのでことわれない。仕方ないので一緒に連れて行くことにした
 
 「じゃあ、しょうがない。行くか。」
 
 「しょうがないって何だよ、ヤス!あたしがそんなに嫌か?ぶっ殺すぞ!?」
 
 「いえ、とってもうれしいです。」
 
 「だろ?」
 
 はぁ、早速胃が痛い。
 
 とりあえずさっさと行くことにした。早足で。
 
 ザザザザッ!
 
 進んだ先には小さな洞窟があった。おかしいな、いつも通るけどこんなの
 
 あったなんて気づかなかった・・・・。
 
 「おお?こんな洞窟あったか?覚えねーぞ?ここじゃねーの?不思議の国。」
 
 ビッグさんが騒ぎ立てる。うざい。
 
 「中はそんなに暗くないな、そのまま入る?」
 
 俺はマチに聞いたつもりだったが、ビッグさんがまた大きな声で、
 
 「何びくびくしてんだよ!行くに決まってんだろぉ?」
 
 といって俺の肩をバシッっと叩いた。骨に響く強烈な一撃だ。マジでうざい。
 
 しかも後ろからぐいぐい押してくる。「早くしろよー!」としきりに言いながら。
 
 そんなに行きたいならお前が先頭いけーー!といいたい所だが、言ったら消され
 る。
 
 喉まででかかったこの台詞を俺は飲み込むことにした。
 
 そんなこんなで、洞窟に入った。中はなぜか明るい。
 
 周りに警戒しつつ奥へと進んでいくと、大きな泉があった。
 
 「おおーー!?行き止まりじゃねーか!」
 
 またビッグさんが騒ぎ出す。その大声で上から鍾乳石が落ちてきた。迷惑だ。
 
 「おい、どうすんだよ!?」
 
 また、ビッグさんが大声で聞いてくる。帰れよ;とはいわず、
 
 「とりあえず辺りを見回してみようぜ。」
 
 と言っておいた。でもそのときにはもうすでに辺りを物色していた。
 
 人の話ぐらい聞けよ・・・。とか思いつつ、その辺を見てみると、古い本がおいてある
 
 なんだろうと思ってみてみると近くに看板もあり、
 
 『国へ入られる方は名前を書いてください』
 
 とギリギリ読み取れるような汚い字で書いてあった。
 
 ついでにペンも・・・・置いてなかった。代わりにケチャップがおいてある
 
 「これで書けって言うのかよ・・・・。」
 
 とつぶやくと、看板の文字が動いて、形が変わり、『YES』の文字に変わった。
 
 「よくわかんねぇな・・・。」
 
 とりあえず、ケチャップで文字を書いた。不思議なことに、ケチャップは出すと黒に変わり
 
 固まって、鉛筆で書いたような文字に変わった。ただ、字の汚さは変わらない。
 
 他の3人の名前も一応書いた。しかし、この後どうすればいいんだろう・・・・。
 
 とりあえず俺もあたりをもうちょっと探っていることにした。
 
 
 
 つづく。
 
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