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にんぎょうがはこんだしあわせたち 作者:糊塗霧 隙羽

第6回   第5話 ノイジのがんばり
「何故そんなことをした。まじめに働いていて、不自由はないだろう。」

ノイジは怒りながらも,冷静に彼に問い掛けました。

その問いに対し、グレーは少し黙った後、ゆっくりと話し始めました。

「僕が財布を盗んだ奴…あいつはかねかしをやっているんだ。」

「…ほう、それで羽振りが良さそうだったから盗んだ訳か。」

「そうじゃない。」

「何?じゃぁ、どういう・・・・」

「奴は悪徳高利貸しで、人々を苦しめてるんだ。だから…」

「じゃぁ、あの金は…」

「奴のせいで苦しんでた人にこっそり渡したさ。とても喜んでたよ。」

「…でも、それじゃぁお前、悪者になってしまうぞ。泥棒に変わりは無いし…」

「いいんだ。」

「!?」

「たとえ、悪者になっても僕はこうして皆を助ける。」

それを聞いたノイジはさらに彼に憧れました。

凄い…。自分を犠牲に町の皆を助けるなんて…なんて奴だ!

でも…

「お前のやってることは、いい事だが悪いことだ。自分が犠牲になるなんて。」

「そうかい?まぁ、意見は人それぞれだろうけど…。」

「少しは自分を大事にしろ。後は俺に任せるんだ。」

そうしてノイジはグレーからスリ業を引き継ぎました。

彼にとって,いい事は難しいですが,悪い事が含まれると簡単なのです。

しっかりきっちり仕事をこなし、陰ながら町の人々を助ける。

それがノイジの仕事となりました。

こっそり、橋を直したり、色んな仕事を手伝ったり…

彼は、今までと比べて変わっていっていました。

少し『良心』が芽生えたようです。

人を助ける事に楽しさを感じるようになって来た…そんな時でした。

町に少人数ではありますが、兵隊がやってきたのです。

多分,他国からの侵略の下見でしょう。

しかし、あからさまに兵隊っぽい格好をしていて、偵察がばればれです。

もう殆ど、町の人々を馬鹿にしているような感じでした。

しかし、実際町の人々は、彼らを恐れ、偵察を野放しにしてました。

しかし、ノイジは…「ふざけるな。侵略などさせるか!」と

兵隊達を追い出しました。この、勇気ある行動により、

ノイジは町の皆から称えられました。そして、ノイジを知らないものは

町に一人も居なくなったというほどノイジは有名になりました。









「…だから,私も知ってるわけです。」

「…そうか。」

店長の補足に、どうでもよさげに受け答える旅人。

「あ、すいません。話を続けますね。」

それを察したのか、店長は話の続きを語り始めた。









兵隊達を追い返したノイジでしたが,実は、それはとてもノイジの体に負担をかける事でした。

そもそも、ノイジは戦うために出来ておりません。

強度もまぁ普通の人形程度。無数に出来た体の傷はとても無理をしていたのを物語っています。

がむしゃらに暴れて何とかなったような今回の戦い。

次に、兵隊が来たら、戦っても確実にすぐ壊されてしまう。

しかし、ノイジは自分を犠牲にしようとも戦う覚悟でした。

皆を幸せにし、人形師に自分を認めてもらいたい。その一心で…

ここまで彼は旅をしてきたのかもしれません……









ノイジは、ある事を考えてました。まぁ、さっきの兵隊のことなんですが…


彼らに,人間のような生気を感じなかったのを、ノイジは不思議に思い、

ずっと考えてました。感情も意思すらも無いような、

誰かに操られて動いているかのような動き。

全員同じ刺青。さらに気になることに,

その刺青は、ノイジの肩にもありました。

いったい彼らは何者なのだろうか…

ノイジはそれをずっと考えていました。

でも、答えは全然出てきませんでした……

つづく

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Novel Editor by BS CGI Rental
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