ノイジは遭難者に聞きました。
「何で取り残されたりしたんだ。」
「え?」
取り残されたのにも理由がある。ノイジはそう考えたのです。
「実は、家出していてね・・・帰りたくないからわざと残ったんだ」
遭難者をよく見ると、まだ若い男でした。
「それで残ったのか。」
「そうなんだ。」
「お前は情けないぞ。」
「え?」
ノイジはさらに言います。
「何であろうと逃げたら駄目だ。立ち向かうんだ。」
「それにな、我侭を言える人が居るってのは幸せだぞ。こっちは捨てられた身だしな。」
そう、捨てられてしまい、愛情も何も知らない彼にとって、
遭難者の男はとても腹立たしいのです。
住む家があったのに、わざわざ、そこを出て行ったりして・・・
情けないというよりは、愚かだと思っていました。
「・・・・そうだね。僕、家に帰るよ。」
ノイジに言われた男は、すぐさまいかだを作り、
島を出て行きました。実際、こんなことをするのは無謀ですが、
ノイジは、そんな彼を見て『男らしい』と思いました。
さて、いかだに乗らずに島に残ったノイジは、島を探索し始めました。
人間にとってはかなり小さい島ですが、彼にとっては巨島です。
数分間歩き回り、ふう。と溜息をつくとノイジはその場に座りました。
「何のために、旅をしてるのだろう。」
元々、目的の無い旅です。いくら考えても何のためかはわかりません。
「自分は、ひねくれてる為に捨てられた。そして、行く当てなく歩いているだけ。」
自分の旅にまるで意味が無いことに、彼は不満を持ちました。
「どうせ行くなら、目的地を決めなければ。目標も欲しい。」
そして彼は考えました。自分は、何をすればいいだろうか。
そうして出た結論は、
『何処かの暖かい家に住まわせてもらう。』目的地はこんな感じです。
『人の為になることをする。』目標はこんな感じです。
決心したノイジは、早速島を出ました。
ぷかぷかと流れていくと、大きな町があります。
ノイジはここで暖かい家と人の為になることを探すことにしました。
つづく
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