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にんぎょうがはこんだしあわせたち 作者:糊塗霧 隙羽

第3回   2話 ノイジの旅の始まり
しかし、川の流れは凄まじく、ノイジも流されてしまいます。

「やはり無理か・・・・」

しかし、川岸のほうを見ると女の子が「がんばって!」

とこっちを見ながら言っています。

そこまで必死に言われると、「やっぱ無理」とは言いにくい。

ノイジは必死に泳いで行き、沈んで岩に引っかかってた人形を

見つけ出すと川岸に居る女の子に向かって投げつけました。

「ありがとう!」

少しやり方はひねくれてましたが、それでも女の子は感謝して

去っていきました。彼を放って。

「ありがとうの前に助けろよ・・・」

ノイジはそのまま流されていってしまいました。

そして、流れ着いた先は、当然ながら海でした。

「・・・・潮臭い・・・」

特に泳ぐ気もなく、プカプカ浮いてると、うみねこに

話しかけられました。

「よう、暇そうだな。」

ノイジは面倒なので答えません。

「なんだよ、愛想がねぇな。」

そういわれてもノイジは何も言いません。

「まったく、なんなんだか。」

そういいつつ、うみねこはノイジの上に乗りました。

「・・・何で乗って来るんだよ。」

「お、喋ったねぇ。理由は簡単。疲れたから。」

「・・・・どけよ。」

「疲れが取れたらね。」

暴れたら沈むので暴れられず、そのままノイジはうみねこに

休憩所の代わりにされていました。

しばらく立つと、うみねこは飛んでいきました。

「休憩所になってくれてありがとー。またねー。」

それを聞いたノイジはぼそりと「もうくんな」と呟きました。

それから数日。ぷかぷか浮いてると、小さな島にたどり着きました。

人が一人居るだけの本当に小さな島です。

「何やってんだお前。暇人か?」

「違うよ、僕は帰れないの。取り残されたの。」

こうしてノイジは今度は遭難者に出会いました。

つづく

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Novel Editor by BS CGI Rental
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