昔、とある所に腕のいい人形師が住んでいました。
彼は様々な技術を扱っており、とうとう、生きた人形も
作れるような腕となりました。周りの人は少し、気味悪がったが、
本人は全く気にせず、注文を受けずとも人形を作っていました。
そんなある日、彼はさらに上を目指し、完璧な人形を作ろうとしました。
人間と見分けがつかぬほど出来のいい人形を。
そうして作られ始めた人形は、『ノイジ』と名づけられ、
大切に扱われ、慎重に作り上げられていきました。
しかし、どこで間違ったのか『ノイジ』は
『男の子の人形』になってしまったのです。
その上、性格の悪いひねくれた奴になってしまいました。
その人形を見て、芸術家肌の彼は、
「こんな失敗作はいらん!消えてしまえ!」
と、窓からぶん投げてしまいました。
「こんな所、燃えてしまえ!」
ノイジは色々ブツブツ文句を言いながら人形師の住む村を出ました。
ノイジは行くあてもなく、とぼとぼと歩いていると、道端で女の子に出会いました。
なんだか、悲しそうにしています。
「なんだ、どうかしたのか。」
ノイジは女の子に話しかけました。
「私の大切なものが川に落ちて、流されてしまったの。」
女の子は助けて欲しそうに、ノイジに言いました。しかし、
「あら、残念。諦めな。」
ひねくれたノイジは笑いながら去っていこうとしました。
しかし、女の子の一言に振り返ります。
「大切なお人形なの。」
自分と同じ人形の事となると何か、気になります。
「ふむ。やるだけはやってみようか」
ノイジは川へと飛び込みました。
つづく
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