とある、旅人が当ても無く彷徨っていた。
あるとき、町を見つけ、食事が出来る場所を探そうと
町をうろうろしていたとき、一軒の店が目に止まった。
看板は「骨董品」関係ないな。と、旅人は立ち去ろうとしたが、
何か妙な気配を感じ引き寄せられるように店には入ってしまった。
旅人は店の中を見回す。壺やら皿やらわけのわからないものが
所狭しと並べられている店内はとても狭かった。
そんな商品棚の奥、意味不明なものに交じって、
小さな人形が置いてあった。それを見て旅人は、
「さっきの妙な感じはこいつだ。」と直感した。
そんなわけで旅人はその妙な人形を眺めていた。すると、
「その人形が気に入りましたか?」
後ろから人の声。驚いて振り返ると一人の老人。
「店の店長です。驚かせたようで、スイマセン。」
そういうと店長はお辞儀をした。
旅人は言った。「この人形、何か不思議な感じがするのだが。」
それを聞いて店長は驚き、「ほー、お目が高い。」
と一言。やはり何かある人形らしい。
「と、いうと?」と旅人は聞いた。
店長はゆっくりと人形の元へ来て、人形を持ち上げつつ言った。
「こいつはね生き人形なんですよ。幸せのね。」
聞いた事の無い単語に旅人はすぐに聞き返した。
「生き人形?しあわせの?」
「そうです。」
店長もその問いにすぐに答える。
「少し、詳しく聞きたいのだが。」
旅人は人形に興味を持ったらしく、その詳細を店長に聞いた。
「興味が沸いたようですね。では、お話しましょう。こいつの生きてきた日々を」
「こいつが運んだ、幸せの数々を。」
つづく。
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