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すきあらば。 作者:糊塗霧 隙羽

第2回   追跡の昼
「結局どこなんだろうな・・・。」

ずっと悩み続けている俺たち二人。

「はむにけ・・・・。」

「いやなに言ってんだお前。それはそう読むんじゃない・・!」

閃いた。

「とりあえずマップ見に行くぞ!」

「え、何、わかったの?ちーちゃん。」

「ちーちゃん言うな!いくぞハゲ!」

「お前もハゲ言うな!」





そうしてマップの前。

「えっと・・・あったここだ。」

俺が指したのは日華公園。

「ここぉ〜?なんで?」

「”にけ”とも読めるだろう。ここ。」

「えー、わからん。漢字は読めん。」

「前に偶然、変換したら出たんだPCで。」

「俺が読めんのはスルー?てか、無理矢理じゃない?それ。」

「さぁ、クソババアとクソジジイを見つけに行くぞ!」

「なぁ、俺の話に耳を貸してくれよ。たまには。」

ひたすら俺は田原を無視し、家の自転車で移動することにした。

てか最初から乗って来れば良かったな。面倒じゃねぇか。

すぐに家に着いた。そして大分前から倉庫に入れられてる自転車を探す俺。

俺の家は学校に近いから自転車は使わないのだ。

「えっと・・・自転車の影も見えないな・・・。どれだけ詰め込んでんだよ・・・。」

ガタッ!

「え?」

その時一気に倉庫の中身が俺に押し寄せてきた。

「危ない!」

しかし、とっさに田原が助けてくれたので大した怪我は無かった。

「大丈夫か!」

「うん、ありがと。俺は大丈夫だ。田原、お前は?」

「おう、異常なしだ!」

そこにさらにもう一回雪崩が発生。

「どわぁ〜!?」

埋もれる俺ら二人。

「いたたた・・・。」

「大丈夫か!千春!」

そんなに酷い怪我は無いが、足をくじいてしまった。

「ちょっと足を・・・・・これじゃ、自転車乗れないな。」

雪崩が発生し、何とか自転車はあったが、俺は乗れない。

「じゃぁ、後ろ乗れ。俺がこぐ。」

田原がけろっとして言う。

「えー。大丈夫なのか」

「まかせろ!伊達に野球で鍛えてない!」

「お前サッカー部だろ。なんで主に野球が来るんだ。」

「さぁ、行くぞ!無限のかなたに!」

「行かんでいいから。普通に公園に行ってくれ。つーか、前の突っ込みは、無視か」

「さっきのお返しだ!」

まぁべつにいいんだが。

「しっかりつかまってろよー。俺は校内一、自転車こぐのが早い男だからな。」

「OK.期待しとくぞ。」

「ほれ、もっとしっかりつかまれ!」

「え、こう?」

「もっと!」

「こんぐらい?」

「そう!それくらいがいい!胸が当たって・・」バキィ!

こいつの頭の中はそういうことしか考えられない構造になってるのか!!!

「気合を入れてもらったところで、田原靖男、行きまーす。」

「おまえ、靖男って名前だったのか。知らんかった。」

「クラスメイトだろ!?覚えろよ!」

「うん、次からは。」

「次っていつの話さ!?」

新たな発見もあったところで、気を取り直して出発!

「発射だ!」

ゴォオオオオオオオオオ!!

もう、自転車にジェットでも付いてるんじゃないかと言うほどのスピードで田原は

走り出した。何だか、隣の車道を通る車が遅く見える・・・・って、どんだけのスピード?

「よし、第二ジェット起動!!」

「はっ!?」

自分でもこのスピードをジェットと称してるようだ。そして、第二・・・・?

シュン!!!

最早ありえない。ありえない。人間じゃない。改造人間だろお前。それぐらい

凄まじいスピードだった。あ、今俺らが起こした風で女子高生のスカートめくれた。

「だ・・第3ジェット行くぞ・・・・!!」

まだいくんかい。でもその前に公園が見えた。

「第3ジェット起動!」

「いや、もう公園ついた!スピードは上げなくていい!いいんだ!とまれ!こら!」

ギャキキキキキキキキキキィーーー!!凄まじい音を立てて、自転車は止まった。

なんだか、ブレーキのあたりから煙が出ている。てか・・・・

ボォ!!

燃えた!?

めらめらと燃える自転車を放置し、あたりを探す俺たち。

「何もねぇじゃん。ここじゃなかったんじゃねぇの?」

「んー・・・おかしいなぁ・・・ん?」

公園で一番大きな木、白衣を着たおっさんが見える。

「あれ・・・・オヤジ!?」

そう、俺の父親、相楽友春だ。よく見れば隣に母親のも相楽千代も居る。

「おまえらぁ!」

「キャー見つかった!」

「うわー、逃げろー!」

餓鬼かおのれらは!!

二人は車に乗り、その場をさっさと立ち去った。

方角は・・・東。山のほうだな。

「追いかけるぞ!第三ジェット起動で!」

「おう、早いのはいいけど恐ろしいから普通の速度で行ってくれ!」

「まかせな!」



そうして、俺たちは二人が逃げた山へと向かったのである。


ゴォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!

「いや、コレも早いだろ!ちょ!もう少しゆっくり!なぁ、俺の声届いてますかぁー?」


つづく

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Novel Editor by BS CGI Rental
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