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消える天使−キエルワタシ−(台本形式版) 作者:糊塗霧 隙羽

第7回   最終話
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後二日。

私とハルカさんの寿命は後二日。

ケンタクンは黒天使。

ハルカさんの恋の相手はケンタクン。

私はどうする・・・・・・私は・・・・・・












ハルカ「天使さん・・・天使さん?」

天使「ん・・あ、すいません、考え事・・・してました・・・。」

ハルカ「ねぇ、私・・・・・・あと何日で死ぬ?」

天使「・・・・(いえない、後二日って事は・・・。」

ハルカ「やっぱ言えない・・・かぁ・・。でも、時間無いんでしょ?」

天使「!?」

ハルカ「判るよ。凄い体調悪いもん。」

天使「(そう、もう時間が無い。私も彼女も。全く時間は無い・・・)」

ハルカ「ケンタ君との恋・・・諦めようかなぁ。」

天使「!?何を・・・」

天使「(実際、黒天使であるケンタクンから離れれば、呪いが薄まって、寿命が延
びるけど・・・・それでも、恋を諦めていいの・・・?)」

ハルカ「恋が叶っても短すぎるもん。悲しいだけだよ。今までの思い出だけで良い
よ。」

天使「・・・・・駄目!」

ハルカ「・・・・なんで?」

天使「例え短くても、恋は恋!途中でそれを止めるなんて、自分を否定してる事に
なるよ!!(本当は・・・諦めてくれた方が、いいんだけど・・・。)」

天使「(何で私、こんなに必死に止めてるんだろう・・・。)」

天使「(いや、何でって、例えどんな理由があろうと、やり遂げるべきだから・・・?
ただ、私が彼女に幸せになってもらいたいから?)」

天使「(それとも、例えこの後死んでも、この恋さえ叶えば幸せだろうと、私が思
ってるから・・・・?)」

天使「(『暖まりさえすれば後はどうでもいい。自分はこれで助かるか
ら。』?)」

天使「(違う、私はハルカさんが幸せになれるように・・・)」

天使「(いや、幸せ?本当に幸せになるんだろうか?)」

天使「(例えなったとしても・・・。それは騙されて実った恋・・・・本物の幸せになれ
るんだろうか・・・。)」

天使「(いや、でも・・・・私が助かる為には・・・え?私が助かる為?それって、やっぱ
り『自分さえ良ければ良い』って思ってる・・・。)」

天使「(こんな、こんなやり方で『ちゃんとした天使』になれるの?幸せを運ぶ神
の使者、天使になれるの・・・?)」

天使「(・・・なれる訳無い。こんな嘘で固めて"作られた"幸せで人の心を暖めて
も・・・ちゃんとした天使になれる訳無い!もしなれたとしても、私はそんなの嫌
だ!)」

天使「(それは『本当の天使』なんかじゃない!!私はそんな騙してなれる『ちゃん
とした天使』になんてなりたくない!)」

天使「(絶対に違う・・・!)」



ハルカ「・・・ど、どうしたの・・?天使さん。急に黙って・・・。」

天使「いや、やっぱ余計な事言ったかな・・・って・・。」

ハルカ「・・・ううん。そんなことないよ。天使さんの言うとおり、自分を否定し
てると思うし。」

天使「ハルカさん・・・。」

ハルカ「自分の気持ちに嘘ついちゃ駄目よね。うん、私、好きよ。彼が好き。まだ
大した人生歩んでないけど、人生で一番いい人に出会ったわ。」

天使「(そこまで・・・。でも、やっぱり・・・黒天使に騙されたままは駄目・・・)」

天使「(かといって、本当の事を言うのも・・・こうなったら・・・・。」

スッ・・・

ハルカ「天使さん?」

天使「・・・・・・・・私・・・・行かなきゃ。」

ハルカ「え?どこに行くの?ケンタ君今、先生と話してて居ないと思うけど・・」

天使「(それはたぶん嘘。部屋で呪いをさらに強くする儀式をしてるんだと思
う。)」

天使「まぁ、大丈夫。なんとかするから。」

ハルカ「・・・天使さん?何か・・・あったの?」

天使「・・・ううん、何もありませんよ。じゃぁ・・・・さよなら!!」

ハルカ「え・・?どういう・・・あ!ちょっと、天使さん!?待っ・・・・」

天使「(ごめんなさい、ハルカさん。私は、決心したんです。)」

天使「(人知れず、彼をこの世から消し、私も消えていこうと!!)」











スゥ・・・・。

ケンタ「ん・・・?ああ、またお前か。今度は何をするんだ?ハルカに告白でもさせ
るか?」

天使「そんな事はしません。必要ありません。」

ケンタ「え・・・?お前・・・まさか!何を!?」

天使「貴方を・・・黒天使を消します。」

ケンタ「なっ・・・!?正気かお前!そんな事したら・・ハルカは悲しむ・・そし
て・・悲しませたお前は、消えてしまう事になるんだぞ!?」

天使「構いません。彼女が騙されて死ぬよりマシです。」

ケンタ「なっ・・・・お前・・マジで・・・。」


天使「(彼を消せば、ハルカさんの恋は叶わなくなるでしょう。しかし、彼を消せ
ば、ハルカさんの病気は治る。そうすれば、新しい人生が始まり、恋も出来る。だ
から、私は、黒天使を消す!)」

ケンタ「イヤダ・・・・」

天使「む。」

黒天使「・・・・・イヤダ!!ヤメロ!!俺ハマダ、人々ヲ苦シメテソレヲ見テ笑ッ
テ・・」

天使「本性が出ましたね・・・全く、黒"天使"と言っても、心は悪魔とそう変わりま
せんね・・・・」

黒天使「俺ハマダ消エタクナイ!!見逃シテクレ!アノ馬鹿・・イヤ、ハルカハ助ケル
カラ・・・。」

天使「黙りなさい。」

ドォン!!(衝撃波)

黒天使「ヒッ・・・・」

へなっ・・・ドサッ!

黒天使「ア・・・アァァ・・・。」

天使「頬を掠めただけですよ?まだ。本番は次です。倒れるのは早い。」

黒天使「待テ・・・・モウシナイ・・・。誰ノ魂も喰ワナイカラ・・・助ケテクレ・・・。」

天使「・・・・そこまで言うなら。」

天使「(人を呪わないというなら彼を殺す必要はないですし・・・・逃がしましょ
う・・。)」

バチィッ!!!

天使「早く、この病院からも出て行きなさい。ちゃんと、記憶は消してから。」

ケンタ「誰が・・・そんな事するかよぉ!」

バチバチバチバチッ!ドォン!!!

天使「ガハッ・・・く・・黒天使・・あなた・・・」

ケンタ「ケッ、約束なんて最初っから守る気ねぇよ・・・隙さえ作れればよかったし
よぉ・・・。」

天使「ひ・・きょうもの・・・はずかしく・・ないんですか・・。」

ケンタ「へへっ、うるせぇーよ。早くくたばりやがれ。お前の魂も食ってやるから
よぉーケケケッ!」

天使「(このまま死んでたまるか!せめてこいつも道連れだ!)」

ケンタ「天使の魂ってどんな味かねぇ・・。ハルカも美味そうだし・・・」

天使「(今だ!)」

天使「やらせはしない!喰らえ、天使とは名ばかりの悪魔!!」

ドォン!!

ケンタ「なぁ・・・!?しまっ・・・・」

ゴォオオオオオオオオ!!

ケンタ「ぎゃァアあぁああああぁああアア!!!!!!!!!」

ボシュゥ!

天使「これ・・で・・ハルカさんの・・・病気も治るはず・・・。」

天使「私・・とケン・・タクンのこ・・とは忘れて、素敵・・な人生を・・送って欲しい
で・・す・・」

天使「あ・・・・もう・・い・・しき・・が・・・・」

きえ・・・る・・・・・












天使「・・・・・・・まぶしい・・・。この光は・・・。」

天使「・・・・・神様?な、何故・・・??私は、消えたのでは・・・・。」

神様「君は、よく頑張り、ついに羽を手に入れた・・・。だからここに居る。」

天使「羽を・・・?でも・・・私は・・・私は心を暖められず終いのは
ず・・・?」

神様「いいや、暖めたよ。しっかりとな。わしの心を暖めた。」

天使「じゃ・・・じゃぁ、私は・・・消えなくてもいいのですか・・・?」

神様「うむ。これからも頑張って仕事をしてくれ。」

天使「・・・・・・・はい!」

これは後から聞いた話ですが・・・

実はこれは、神様が私たち天使全員をテストするために必ず来る、"作られた状
況"だったのです。

最後の一回となったとき、自分を犠牲にするか、相手を犠牲にするか

それを見ていたんだそうです。そして、このテストで相手を犠牲に

してまで、生き残ろうとしたものは悪の心が生まれ、黒天使となるのです。

だから、黒天使は羽が無くとも存在することが出来たのです。

1000回人の心を暖めることは出来たから。

でも、それは、本当の心を暖めると言うことにはならないため、

"黒天使"なのです・・・・・・・。








それから私は、空を飛ぶのもすぐに出来るようになり、

『ちゃんとした天使』となれました。

その後も、しっかり、人の心を暖める仕事を頑張っております。

天使「ふぅー・・・次は・・・あっ!あれは!!」

神様「うむ、天使よ。次はあの少女の心を暖めるか。」

天使「はい、頑張ってきます!」

神様「よしよし、しっかりやってくるのだぞ。」

天使「はい!」





天使「 今 度 は 、 ハ ル カ さ ん の 恋 を き っ と 叶 え
 ま す ! ! 」




神様「うむ、頑張れ。」

天使「はい!」

神様「うむ、やっぱりお前の返事はいい返事じゃ。(別に恋じゃなくとも心は暖め
られるんだがな・・。ま、本人がやりたいようにやればいいか・・・。)」

天使「有り難う御座います!」

神様「フォッフォッフォッフォ・・・。(ちとうるさい・・・。)


















おしまい。

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Novel Editor by BS CGI Rental
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